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優秀な人材を採用するために、採用面接は重要なプロセスのひとつです。しかし、面接官としての経験が浅い担当者にとっては、応募者とどのように接すれば良いのか、分からないケースもあるでしょう。また、採用を判断するために不可欠な質問であると考えていても、応募者に対して聞いてはいけない質問も存在します。

今回は、採用面接において面接官にはどのような行動が求められるのか、応募者を見極めるためのポイントもあわせて解説します。

採用面接で面接官が押さえておくべき原則

そもそも採用面接とは、応募者の適性や意欲、能力などを見極めるために、企業の採用担当者が応募者に対してさまざまな質問や意思確認を行うプロセスです。当然のことながら、採用面接においては公正な選考が求められることでしょう。この点について、厚生労働省では「採用選考の基本的な考え方」として以下の2点を挙げています。

【以下、「厚生労働省|公正な採用選考の基本」より引用】

  • 応募者の基本的人権を尊重すること
  • 応募者の適性・能力に基づいて行うこと

たとえば、自社の社風に合わない、または採用基準に満たない応募者だからといって、人格を否定するような言葉を投げかけることはあってはなりません。また、優位的な立場を利用して採用に関係のないプライベートな事柄に踏み込む質問なども採用面接では厳禁といえます。

【公平な採用のために】面接官がとるべき行動

では、上記で紹介した採用面接での原則を押さえつつ、採用を公正かつスムーズに進めるために、面接官はどのような行動をとれば良いのでしょうか。3つのポイントをもとに解説しましょう。

     話しやすい雰囲気をつくる

採用面接に挑む応募者の多くは、自分自身の将来がかかっていることもあり緊張しています。また、採用面接にかかわらず、初対面の人とコミュニケーションをとる際には本能的に警戒感を抱きやすいものです。

しかし、このような状況のまま面接の本題に入ってしまうと、応募者はどのような人物なのか、適性や能力が正当に評価できなくなってしまいます。

そこで、面接官は本題に入る前に、応募者の緊張をほぐし、話しやすい雰囲気をつくることが重要です。たとえば、自己紹介や天候の話題など、アイスブレイクとなるような話題を挟みつつ空気を和らげましょう。

     質問に対してわかりやすく説明する

面接では応募者へ質問を投げかけるだけでなく、応募者から質問を受けることも少なくありません。特に、応募者がこの先に長く働き続けることを考えたとき、自社の将来性やビジョンは気になるポイントであり、突っ込んだ質問を受けることもあるでしょう。

しかし、経営方針やビジョンは難しい言葉で表現されているケースや、抽象的な言葉が用いられていることも多いものです。応募者からの質問に対してそのまま答えても、十分に理解できないケースもあるでしょう。そこで、面接官は自社の経営方針やビジョンの本質を理解し、応募者でも理解できるようかみ砕いて説明することが求められます。

また、事業とは関係のない質問や、質問の内容自体が的外れであったとしても、理解しようとする姿勢を見せることが重要です。

     自社の魅力を伝える

採用面接は応募者を選考する場であると同時に、応募者が企業を見極める場でもあります。そのため、面接官の印象が応募者の入社意思を左右するケースも少なくありません。

面接官は応募者に対して良い印象を抱いていたとしても、応募者が面接官に対してネガティブな印象をもってしまうと内定辞退につながることもあるでしょう。自社を卑下するのではなく、応募者に対して自社の魅力を伝えポジティブな印象を与えることが重要です。

【採用面接】聞いてはいけない質問

採用面接において、応募者に対する質問内容によってはトラブルに発展する可能性もあります。面接官が注意すべきNG行動やタブーとされる質問の例を紹介しましょう。

適性や能力とは無関係の質問

冒頭でも紹介しましたが、厚生労働省では採用選考を「応募者の適性・能力に基づいて行うこと」としています。そのため、応募者の適性や能力に関係しない質問を投げかけるべきではありません。

しかし、正当な質問であるか否かは面接官の考え方や価値観によっても異なり、ときには応募者と認識の相違が起こることもあるでしょう。そこで、厚生労働省では、「採用選考時に配慮すべき事項」を定義しており、このなかで適性や能力とは無関係な質問として14項目を挙げています。その一部を紹介します。

本人に責任のない事項の把握

  • 出生について:「出生地(本籍)はどこですか?」
  • 家族について:「家族構成について教えてください。」
  • 住居について:「ご自宅は一戸建てですか?」
  • 家庭や生活環境について:「共働き世帯ですか?」

本来自由であるべき事項の把握(思想・信条にかかわること)

  • 宗教について:「ご実家の宗派はわかりますか?」
  • 政治について:「支持している政党はありますか?」
  • 生活や人生の考え方について:「もっとも大切にしている人生観は何ですか?」
  • 社会運動の参加について:「労働組合(または学生運動など)へ加入したことがありますか?」

採用選考の方法

  • 身元調査の実施
  • 本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用
  • 必要性が認められない採用時の健康診断

上記の質問は、いずれも就職差別につながるおそれのある内容であり、採用面接における質問としては避けたほうが良いでしょう。

     応募者の人格を否定するような質問

応募者に何らかの問題がある、または自社の採用基準を満たさないからといって、人格を否定する言葉は厳禁です。

たとえば、「そのような考えだから採用してくれる企業が少ないのでは?」などのように、個人の考えを一方的に否定する言葉はハラスメントにも該当します。

たとえ応募者に対する指導のつもりであっても、質問の内容や言い方次第ではトラブルに発展する可能性もあるため注意しましょう。

採用面接における応募者の見極めポイント

採用面接において優秀な人材を見極めるためには、どのようなポイントに注意すべきなのでしょうか。採用のミスマッチを防ぐためにも、特に押さえておきたいポイントを2つ紹介します。

     具体性のある質問で深掘りする

採用面接では、面接官と応募者が互いに初対面同士であることが多いため、抽象的な質問を投げかけてしまいがちです。たとえば、「自分自身の強みは何だと思いますか?」という質問をした場合、応募者のなかには「粘り強く最後までやり遂げること」や「他人に対して思いやりがあるところ」といった返答をしてくる場合もあるでしょう。

しかし、それだけでは応募者の主観である以上、面接官は客観的に判断できません。そこで、「なぜそのように感じますか?」と深掘りし、徐々に具体性のある質問を投げかけていきましょう。

具体性のある回答が得られることで、応募者の人柄や本音を引き出せます。

     複数回の面接を実施する

一度の採用面接だけでは、面接官によって評価に偏りが生じるほか、応募者の第一印象だけで評価が決まってしまうことも考えられます。また、応募者にとっては初めての面接であることも多く、緊張していて本来の姿ではないケースも少なくありません。

そこで、このような問題を解消するためには、異なる面接官で複数回の面接を実施するなどの対策が有効です。2回、3回と面接を繰り返すうちに応募者も慣れてきて、本来の自分を発揮でき、応募者の本質を見極めやすくなるでしょう。

限られた時間のなかでも効率的な採用面接を

採用面接を担当する面接官は、応募者の人権に配慮したうえで公正な評価が求められます。

採用面接では企業側が応募者を選ぶ場であると考えられがちですが、応募者もまた企業を選ぶ立場にあることも事実です。そのため、より優秀な人材を採用するために、面接官は応募者に対して質問をするだけでなく、自社の魅力を伝える気持ちも重要といえるでしょう。

限られた面接時間で応募者を見極めることは簡単なことではありませんが、今回紹介したポイントを参考にしながら採用面接に取り組んでみましょう。


参考:

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