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今、日本は「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」や「働き方の多様化」などの課題を抱えており、働き方改革への取り組みが求められています。政府が目指している「働き方改革」というのは、働く人個々の事情に応じた柔軟な働き方を、自分で「選択」できることを目指したものです。こうした求めに応じるため、また、自社の労働環境をより充実させるために、多くの企業が「フレックスタイム制」に注目をしています。今回は、フレックスタイム制の仕組みを正しく理解し、自社に合った活用を考えるための事例を紹介します。

フレックスタイム制とは

フレックスタイム制は、あらかじめ定められている一定の期間内の総労働時間で、労働者が日常的な始業・終業時刻や労働時間を自ら決められる制度です。具体的にどういうことなのか、詳しく見ていきましょう。

始業・終業時刻や働く日までも選択できるフレックスタイム制

通常の労働時間制度であれば、決められた始業時刻から終業時刻までの間は勤務しなければならないとされています。一般的に午前9時から午後5時までの8時間労働を定めている企業が多いでしょう。

一方、フレックスタイム制では、フレキシブルタイムとコアタイムを設定するケースや、コアタイムを設定せず、労働者が働く日も自由に選択できるようにするケースもあります。

フレキシブルタイムとコアタイム

フレキシブルタイムとコアタイムとはどういったものかを確認しておきましょう。

  • フレキシブルタイム:いつ出社・退社してもよい時間帯を指します。

例)午前7時から11時まで、午後3時から8時までをフレキシブルタイムに設定した場合

・午前7時から11時までの間に出社/午後3時から8時までの間に退社

  • コアタイム:必ず勤務しなければならない時間帯を指します。

例)午後1時から2時までがコアタイムに設定されている場合

・午後1時から2時の間は勤務している必要がある

フレックスタイム制のメリット

労働時間を効率的に分配することができるフレックスタイム制には、フレキシブルタイムとコアタイムを設けないケースもあり、このケースの場合は、労働者が労働時間を自由に計画的に使えると期待できます。

このケースのようなフレックスタイム制を導入すると、労働者・企業側にとってより働きやすい状況が実現できます。具体的には次のようなメリットが考えられるでしょう。

労働者側

  • 保育園などに通っている子どもの送り迎え

夫婦ともに働いている、あるいは子どもの面倒をみてくれる家族がほかにいない場合は、送り迎えや園の行事への参加などに時間が必要なことも多々あります。勤務時間と育児などにかかわる時間配分を柔軟に考えられることは、労働者にとって大きなメリットだといえるでしょう。

  • スキルアップのための時間の確保

仕事を続けるうえでも、また、自分のキャリアアップのためにもスキルを磨くことは大切です。しかし、日常の業務に忙殺されているとスキルアップに時間を使えない、あるいは、そのための気力さえも失うこともあります。フレックスタイム制を活用し時間を確保できる状況になれば、さらなるスキルを身につけ、業務にも貢献できる可能性は高まります。

  • 通勤ラッシュの回避

勤務するうえで、毎日のラッシュ時の通勤は精神的・身体的負担になります。時間をずらして通勤できるようになれば、そのストレスを解消できると考えられます。

  • 通院・リハビリなどの継続

長期の休養や入院が必要というほどでもないけれど、健康維持のために通院やリハビリを必要とするケースは少なくありません。そうした状況において、勤務時間との兼ね合いを気にして、通院やリハビリに行けなかったり、途中でやめてしまったりすることもあるでしょう。しかし、将来的な自分のキャリアプランを考えるうえでも、スキルアップを目指すためにも、日々の健康維持は重要です。そうした時間を取りやすい環境としても、フレックスタイム制の活用は有用であるといえるでしょう。

企業側

  • 残業時間の節約につながる

繁忙期と閑散期がある業務において、ある一定期間で労働時間を自由に分配できるフレックスタイム制の導入は、効率的な働き方へとつながります。たとえば、繁忙期には長めに働き、仕事が少ない時期には早めに帰宅するなどの工夫をすることで、残業を減らせると考えられます。

  • スキルが高い労働者の確保・定着につながる

労働者側のメリットでも紹介しているように、労働者のスキルアップに使える時間を確保できる働き方が定着すれば、全体のスキルアップが期待できます。また、そうした環境の整った企業であれば、求人に応募する優秀な人材も増え、人材確保・定着が期待できるといえるでしょう。

フレックスタイム制のデメリット

労働者側

  • 急な打ち合わせに対応しにくい

自身がフレックスタイム制を利用している場合や、プロジェクトメンバーのなかに利用者がいる場合、急な打ち合わせが必要となったときのスケジュール調整がしにくく、自分の作業がスムーズに進まなくなる可能性があります。そのことは個人だけの問題ではなく、プロジェクトの進捗をも左右することになりかねないというデメリットがあります。

  • 自己管理が重要

自身の生活と仕事とのバランスをうまくとりながら、スキルアップのための時間も確保しやすくなるフレックスタイム制ですが、うまく効果を得るためには自己管理が重要です。そのため自己管理がうまくできないと、ただルーズな働き方を助長するだけになり、自身にとっても得るものがないという状況になりかねません。

企業側

  • コミュニケーション不足の心配がある

労働者が個別の都合に合わせて出退勤の時間を決めることになると、全員がそろう時間を確保しにくくなります。チームで動かしている案件において、メンバー間のコミュニケーションが不足する可能性もあります。

  • 取引先とのスケジュール管理が難しくなる

取引先とのスケジュール調整が難しくなる可能性があります。取引先がフレックスタイム制に対して理解がないケースでは、担当者が社内に不在の時間帯があることについて不満に思われる可能性も否定できないでしょう。そのことが原因となり、取引がスムーズに進まないことも懸念されます。

フレックスタイム制を導入するときのルール

労働時間を効率的に分配することで、自由度の高い働き方を実現できるフレックスタイム制ですが、導入する場合は基本的なルールが定められています。また、時間外労働や欠勤に関する扱いも通常の労働時間制での扱いとは異なります。うまくフレックスタイム制を導入して効果を得るために、導入するときの基本的なルールを確認しておきましょう。

導入するための2つの要件

フレックスタイム制はすぐに導入できるわけではありません。事前に取り決めをしておかなければならない規定があります。

就業規則などへの規定が必要

フレックスタイム制を導入する場合、就業規則やそれに準ずる規則において、始業・終業の時刻を労働者が決めることができる、と明確に定めておく必要があります。

労使協定で制度の基本的枠組みを定めることが必要

以下の事項を決めておく必要があります。

  • 対象となる労働者の範囲

例えば、会社のすべての労働者を対象とするのか、特定の部署の労働者を対象とするのかなど、明確に対象範囲を決めます。

  • 清算期間

清算期間の上限は1カ月でしたが、2019年に行われた法改正によって3カ月になりました。つまり、以前は1カ月のなかで労働時間の調整を行う必要がありましたが、法改正で3カ月に延長されたことにより、月をまたいだ労働時間の調整が可能となり、より柔軟な労働時間の配分ができるようになりました。しかし、清算期間が1カ月を超える場合には、所轄の労働基準監督署長に労使協定を届け出なければなりません。違反すると罰則(30万円以下の罰金)が科せられることがありますので必ず届出をするようにしましょう。

  • 清算期間における総労働時間

労働者が清算期間内に労働しなければならない時間、つまり、総労働時間(所定労働時間)を決めなければなりません。

  • 標準となる1日の労働時間

1日の労働時間の標準は、年次有給休暇で支払われる賃金の算定基礎となる労働時間の長さのことを指します。清算期間の総労働時間を、期間中の所定労働日数で割った時間がそれにあたります。

  • コアタイム

労働者が1日のうちで働かなければならない時間帯のことです。しかし、コアタイムを必ず設けなければならないというわけではありません。コアタイムを設ける場合は、コアタイムの開始・終了時刻を協定で明記しておく必要があります。

  • フレキシブルタイム

フレキシブルタイムは、労働者が自らの選択によって決めることができる労働時間帯を指します。フレキシブルタイムも必ず設けなければならないというものではありません。こちらも設ける場合は、開始・終了時刻を協定で定めておく必要があります。

時間外労働・欠勤に関する扱い方

時間外労働:フレックスタイム制を利用している労働者に対しても、時間外労働をする場合は36協定の締結と届出が必要です。しかし、時間外労働のカウントが通常の働き方の場合は1日単位であるのに対し、フレックスタイム制を利用した労働者に対しては清算期間を単位としてカウントすることになります。

また、清算期間が1カ月以上の場合、1カ月ごとに1週間あたりの労働時間が50時間を超えてはいけないという縛りがあるため、それを超えた労働時間は超過した月の時間外労働として換算されます。

  • 欠勤:法改正が行われる以前の清算期間が1カ月であったときには、1カ月単位で清算をしていたため、所定労働時間を超過していても、超過分の割増賃金を払うことで清算されていました。一方、所定労働時間に満たない場合は欠勤扱いになっていました。

法改正後に清算期間が3カ月に延長されたことで、所定労働時間を超えた月と所定労働時間が不足していた月があっても、3カ月以内であれば相殺することができるため、所定時間不足でも欠勤扱いにせずにすみます。また、超過分の割増賃金の支払も発生させずにすみます。ただし、清算期間が1カ月以上であっても1カ月ごとに1週間当たりの労働時間は50時間を超えてはいけないことになっているので、超過分はその月の時間外労働としてカウントしなくてはなりません。

フレックスタイム制導入が適する企業とは

厚生労働省が公表している「令和3年就労条件総合調査」によるとフレックスタイム制を導入している企業は全体の6.5%です。そのうち、3割ほどが企業規模1000人以上の企業で、規模が大きいほど導入割合も高くなっています。

まだ全体からみると導入が進んでいないフレックスタイム制ですが、導入しやすい、あるいは導入することで労働環境が改善されやすいのは、どのような業種・分野・職種でしょうか。

導入率の高さには、時間の融通と個人裁量の大きさが関係

フレックスタイム制を導入している企業のなかで、導入率の高い業種は、情報通信業(30.0%)、学術研究、専門・技術サービス業(18.0%)、複合サービス事業(16.5%)となっています。

これらの業種や職種では業務の時間を柔軟に変更しやすい、ある業務を担当する労働者自身が自分の裁量で遂行しやすい、といった特徴が見て取れます。

他部署との連携や顧客対応が多い分野では導入が難しい

一方、導入率の低い業種を見ると、建設業(1.1%)、教育、学習支援業(1.3%)、宿泊業、飲食サービス業(2.0%)、生活関連サービス業、娯楽業(2.1%)、従業員数30~99人の製造業(2.7%)、医療、福祉(3.2%)となっています。

これらの業種や職種では顧客対応、時間を問わないサービス提供などにより、チームや他部署との連携業務が多いことが理解できます。

以上のことから業務を行ううえで時間に縛られず、担当者にある程度の裁量権が付与されており、担当者判断で遂行できる分野の仕事では、フレックスタイム制の導入がしやすく、また効果も実感しやすいといえます。

一方で、サービス提供をするにあたり、相手との連携が必要であり、また、相手に合わせた対応が必須である分野の仕事においては、フレックスタイム制の導入は難しいと考えられます。

労働時間の効率的な分配で、目指せ!エンゲージメント向上

フレックスタイム制の導入には基本的なルールもありますが、事前に就業規定などを整備することで、働き方の自由度を拡張させ、働く人のエンゲージメントを高める可能性も出てくるでしょう。そうなれば、業務の効率化や業績向上も期待できます。労働力確保が難しくなる今後、優秀な人材を確保し、定着させるためにも、今、検討して条件を整えておくことは有用です。

そのためにも、まずは自社の業務が導入に適しているのか、また、どのような業務を対象にすれば導入が可能であるのかを見極め、自社内で規定を整備することから始めましょう。

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