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厚生労働省が公開している「令和元年版 労働経済の分析」のなかで、日本において「エンゲージメント」についての記述がある記事数は2014年から2019年の5年の間に10倍になっていると紹介されています。たしかに、「エンゲージメント」という用語を目にする機会が増えました。ではなぜ今、企業がエンゲージメントに注目しているのでしょうか。今回は、エンゲージメントとは具体的にどんなものか、エンゲージメントを意識することで期待できる効果についてご紹介します。

エンゲージメントとは

エンゲージメントという用語は、「婚約」「約束」「契約」と日本語に訳される英語です。この用語は二者間に信頼関係のあることや、強いつながりの存在をイメージして用います。たとえば、ビジネスにおいては「会社と従業員の関係性」「会社と顧客の関係性」を考えるときに使われる用語がエンゲージメントです。

職場において従業員の「エンゲージメント」という場合は、「従業員が会社に対してどれくらい愛着を感じているか」といった内容を指しています。エンゲージメントがどういった内容を指す用語なのかを職場を背景に考えてみましょう。

「働きがい」を客観的にみる概念としてのワーク・エンゲージメント

働きがいのある環境が整っている会社では、従業員が活発に、かつ、積極的に業務にあたるので、業績の向上やコミュニケーションの活性化がみられると言われています。では、どういった状態であれば従業員は「働きがい」を感じていると言えるのでしょうか。その状態を客観的に捉えるために「活力」「熱意」「没頭」という3つがそろった状態として定義される「ワーク・エンゲージメント」という概念が使われることがあります。

ワーク・エンゲージメントの3つの要素

それぞれがどういった状態を指しているのか見ておきましょう。

  • 活力:仕事から活力を得て、活き活きと取り組んでいる

つまり、従業員の心理的、身体的状態が、仕事に積極的に取り組むことができる状態であることを示しています。たとえ業務における困難な課題が出現したとしても、粘り強く取り組める状態です。

  • 熱意:仕事に対して誇りとやりがいを感じている

自分が仕事をする意味、意義を見いだしており、目の前の課題や新たな作業に対しても積極的に熱意をもって挑戦する意欲がある状態です。さらに探究心をもって仕事に臨めます。

  • 没頭:仕事に熱心に取り組んでいる

仕事をすること、自分の業務に取り組むことに幸福感を感じるほどにのめり込んでいる状態です。

ワーク・エンゲージメントの測り方

では具体的に、従業員のエンゲージメント(ワーク・エンゲージメント)を測るにはどうすればよいのでしょうか。

一般的に用いられている方法が「質問形式」で測定するというものです。

ワーク・エンゲージメントの3つの要素「活力」「熱意」「没頭」の尺度を盛り込んだ質問項目(ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度)を用意して、従業員に回答してもらいます。それらを点数化してエンゲージメントを測ります。

ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度(UWES)には17項目の質問、9項目の質問、3項目の質問の3種類があります。

ただし、注意しておくことは、自分の感情や行動について高評価をつけることに抵抗を感じやすい日本人の場合は、ワーク・エンゲージメントが低く現れる傾向にあります。調査対象となる組織や部署の特徴を踏まえて、結果を評価する必要もあるでしょう。

UWESの一例を紹介

UWESの各質問を以下の0から6点で回答します。

0:全くない 1:ほとんど感じない 2:めったに感じない 3:時々感じる 4:よく感じる 5:とてもよく感じる 6:いつも感じる

  • 質問1:仕事をしていると、活気がみなぎるように感じる(活力1)
  • 質問2:自分の仕事に意義や価値を大いに感じる(熱意1)
  • 質問3:仕事をしていると時間がたつのが速い(没頭1)

このように「活力」「熱意」「没頭」の要素を図るための質問があります。

従業員満足度と従業員エンゲージメント(ワーク・エンゲージメント)の違い

ワーク・エンゲージメントが高い状態というのは、従業員自身が自分の会社に対して、また仕事に対して、自らとの関係性を強く意識して、積極的に向き合っている状況が存在していることが判ります。つまり、エンゲージメントの高い従業員というのは、「会社に貢献したい」「積極的に動き、自らを高め、業務においても成果を上げたい」「この会社で働くことに誇りを感じている」などのように、自分が働いている環境をより良い状態に高め、自らも向上していこうとする前向きな感情が強く働いていると考えられます。

同様に、職場において従業員の精神的、身体的状況に着目した概念に「従業員満足度」という表現があります。

この「従業員満足度」というのは、たとえば、仕事をするうえで、オフィスの広さに満足している、上司との関係に不満はない、通勤のしやすさに満足している、業務内容と給料額に納得している、などのように、ある項目に対してどれくらいの納得感を持っているかを示すものだといえるでしょう。

もちろん「働きがい」のある職場であれば、従業員満足度は高いと想像できますが、それだけでは「働きがい」を感じながら業務に向き合っているとは限らないと考えられます。

従業員エンゲージメント(ワーク・エンゲージメント)を高める意義

従業員のエンゲージメントを高めるとどのような効果が企業にもたらされるのでしょうか。

持続可能な企業活動の実現

従業員のエンゲージメントが高い状態が維持できている企業では、継続的な業務が一定のレベルを保ちながら行えるので、業績のアップが見込めます。また、働く環境が整えられるだけの企業の経済的余裕がでるようになれば、さらに働く環境の整備や働き方改革への取り組みが進むようになることでしょう。すると、従業員のエンゲージメント向上へと結びつくようになると考えられます。そうしたなか離職率の低下が実現でき、企業文化が醸成され、持続可能な企業活動ができるという好循環が生まれることが期待できるでしょう。

社会の変化に順応した組織へ

従業員のエンゲージメントが高く、「活力」「熱意」「没頭」の要素が満たされた状態であれば、社会の変化への柔軟な対応がしやすい組織が構成されると考えられます。それぞれの従業員が積極的に自分のやるべき業務に向き合い、最適な行動を導く出すための努力を続けている組織においては、社会の変化に気がつきやすく、対応も迅速に行えます。

顧客満足度向上

従業員が熱意をもって業務にあたっている企業では、業務に対して向上心をもって創意工夫を行うことができているため、顧客のニーズに誠意をもって対応することや潜在的なニーズをいちはやく察知し、タイムリーな顧客対応ができるようになります。そうなると、自ずと顧客満足度が高まります。

エンゲージメントを高める方法を事例で探る

従業員のエンゲージメントを高め、企業の業績向上や持続可能な成長を実現するためにはどのような取り組みをすればよいのでしょうか。従業員エンゲージメントを向上させ、企業組織の変革、実績改善へと効果を出した企業の事例を参考に考えてみましょう。

株式会社福井|離職率を改善!決断力のあるリーダー育成

大阪府で金物製造卸売業を営む老舗企業である株式会社福井は、創業100年(2016年)をきっかけに社員と向き合ってこなかったことを反省したといいます。それまでの組織は個人事業主が集まったような状態であり、組織的な機能分化ができておらず、離職者も少なくありませんでした。そこで会社の基本方針と行動方針を策定しました。そのなかで、以下を実行し、ワーク・エンゲージメントの向上を図りました。

それぞれの部署でエンゲージメントを計測

まず、現状を知るために、1カ月に1度の割合で、全社員を対象としてワーク・エンゲージメントスコアを測定しました。それぞれの部署で数値化することで組織の状態を把握することに努めたのです。そして、スコアから読み取れる課題を見える化することで、迅速に課題解決への対策を講じました。

コミュニケーションは質より量をモットーに「1on1」を実施

階層別に1on1を数多く実施しました。たとえば、管理職は1カ月に1度は必ず従業員と1on1を行い、仕事の話のみならず日常的な変化や不安材料を理解できる体制を構築しました。

トップダウン型より意思決定ができる多数のリーダーが組織を強くする(権限移譲)

さらに各部署における管理職が適切に迅速に対応できるように、管理職への権限移譲、裁量性の向上にも取り組みました。こうした組織改革の背景としてトップダウン型の組織に比べ、意思決定ができるリーダーが数多く存在する組織のほうが、変化の激しい時代への柔軟な対応が可能となり、結果、強い組織が生まれるとの判断がありました。

結果

従業員の「働きがい」に着目しながら取り組みを継続した結果、2018年には離職率がゼロを記録。「社員が自分の子どもに自信をもって入社を勧められる会社」をめざし組織改革に挑み続けています。

Sansan株式会社|組織の状態を把握!従業員の力で組織力向上

Sansan株式会社は「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションに掲げて、クラウド名刺管理サービスSansan(法人向け)と名刺アプリEight(個人向け)の2サービスで事業展開をしています。企業規模の拡大にともない従業員を点としてだけではなく面(チーム)としても捉えていくことが重要であり、それがひいては、組織力強化につながると考えました。そして、まず組織の現状を知りたいという思いから2017年よりワーク・エンゲージメントの測定をはじめました。

継続的にエンゲージメントを把握することで、組織の状態変化の傾向を理解

1カ月に1度、全社員を対象としてワーク・エンゲージメントスコアを測定。現場のチーム・マネージャーに権限を付与して、チーム状態を把握し、どのようにしてチームの士気を高めるかを検討するために役立てています。

休み方に着目した制度「チャージ休暇」を設定

ワーク・エンゲージメントを測定するなかで、生産性を向上させるためには日々の疲れを回復させるための休暇取得を制度化することが重要だと判断。7〜9月の間に連続3日間の「チャージ休暇」を取得できる制度を開始しました。取得対象者の取得率は90%以上。チャージ休暇後には疲労回復やエネルギーチャージができていることを示す結果も得ています。

結果

従業員のエンゲージメントをグループ単位で測定することで、従業員を点としてだけではなく面として捉えることを継続的に行ってきました。その結果、組織の状態変化には傾向があることが分かり、その原因も見える化されてきました。見えてきた課題に対して、具体的な対策を講じることで、組織力がつねに高い状態を保てるようになっています。さらなる組織改革に挑戦し続けています。

これら2企業の事例から見えることは、組織全体の状況を把握して問題点を見える化させること、そして従業員の現状に共感し、寄り添う視点で問題解決にあたることの必要性です。こうした視点をもって従業員のエンゲージメント向上をめざした取り組みを行うことが重要だといえるでしょう。

従業員エンゲージメントを高めて、持続的な成長の可能性を広げよう

従業員のエンゲージメントに着目をして、「働きがい」を感じながら仕事ができる環境を整えることは、企業の継続的な成長を実現する組織づくりにつながります。まずは自社の現状を理解することから始める必要があります。

課題が明確になれば、具体的な対策も検討できるようになります。そして、具体的な取り組みの結果、組織力向上、業績向上といった成果が現れてくるはずです。

取り組みの第一段階として、従業員エンゲージメントをどのように把握するのか、自社にあった方法を考え、実施してみましょう。

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