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深刻な人手不足が続くなかで、離職率の高さが課題となっている企業も少なくありません。実際、次のように感じている方も多いのではないでしょうか。
「そもそも離職率とは、どのような指標なのか分からない」
「自社の離職率が高いのか低いのか、分からない」
そこで今回は、離職率の意味や定着率との違い、産業別でどのような傾向が見られるのかについて、詳しく解説します。
離職率の意味と定着率との違い
離職率という言葉は耳にしたことがあるものの、厳密にどのような意味なのか理解できていない方も多いのではないでしょうか。そこで、あらためて離職率の意味や算出方法、さらに、離職率と対比的な意味で使われる定着率、入職率についても解説します。
離職率とは
離職率とは、一定期間において「社員が離職した割合を示す指標」のことを指します。ただし、離職率は法律によって厳密に定められているものではなく、企業によっても細かい定義や算出方法は異なります。
ちなみに、厚生労働省が離職率を算出する式は、以下の通りです。
離職率=(離職者数÷1月1日現在の常用労働者数)×100%
なお、離職率は1年単位で算出するケースもあれば、3年間や5年間といった期間で算出するケースもあります。多くの場合は、「過去◯年間の離職率」というように直近から数えて何年間の数値を基にする確率なのかを表現するケースが一般的です。ただし、算出期間については、厳密に決められているもではありません。
離職率と定着率・入職率の違い
離職率と対比的な意味として使われる言葉に「定着率」や「入職率」があります。それぞれどのような意味をもつ言葉なのか、算出方法もあわせて紹介しましょう。
定着率
一定期間において、どの程度の社員が退職せず定着しているかを示す指標を定着率とよびます。さらに分かりやすく表現すると、離職率との差分と考えることもできるでしょう。
たとえば、ある職場における1年間の離職率が5%であった場合、定着率はその差分である95%ということになります。上記で紹介した厚生労働省の式に当てはめるとすれば、以下の算定式になります。
定着率=(定着者数÷1月1日現在の常用労働者数)×100%
入職率
一定期間において、新たに入社した社員の割合を示す指標を入職率とよびます。定着率は既存社員を対象に算出しているのに対し、入職率は新たに入社した社員を算出するものです。
こちらも厚生労働省の式に当てはめると、以下の算定式になります。
入職率=(入職者数÷1月1日現在の常用労働者数)×100%
効率的な採用を行うためにも、一度、企業の離職率・定着率・入職率を出してみてはいかがでしょうか。
産業別に見る離職率の現状と傾向
業種を問わず、どのような企業であっても一定の離職者は存在するものです。しかし、他社に比べて離職率が明らかに高い場合には、社内に何らかの問題がある可能性があります。
自社の離職率が高いのか、または低いのかを適正に判断するためには、産業別に企業を分類したうえで離職率の平均値を比較することが重要です。
そこで今回は、厚生労働省が公表している「令和2年雇用動向調査結果の概要」から読み取れる、日本における離職率の高い職種と低い職種の傾向を解説しましょう。
離職率が高い業種は、入職率も高い?
厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果の概要」によると、2020年度の調査で離職率の高い業種は、以下の通りです。
いずれにも共通しているのは、目と目を合わせて人と接するような仕事が多いということ。さらに離職率の高い業種は、入職率も高い傾向にある点も気になります。特に未来を担う教育・学習支援業においては、入職率が離職率を上回っているのです。
また、2020年はコロナ禍の影響もあり、外出の制限がされていたことが対人を伴う業種の離職率の低下に関係しているのかとも考えました。しかし、いずれも離職率は前年比との大きな差はありませんでした。これらの結果からも、人材が定着するのが難しい業種であることがうかがえます。
なお、離職率の平均については「日本における平均離職率とは?離職率の算出方法も解説<11-3 リンク>」でも詳しく解説していますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
インフラ業種は、離職率が低い傾向?
では、サービス業とは対照的に、離職率の低い傾向のある業種は何なのでしょうか。統計データを見てみると、私たちの日々の生活を支える「インフラ」に関わる業種の離職率が低い傾向にあると分かりました。
なかでも情報通信業は、離職率と入職率の差がもっとも大きく、離職率9.2%に対して入職率は14.6%。離職する人は少なく、入社する人の割合は高いという理想的な環境であることがうかがえます。
さらにテレワークの導入ブームにより情報通信の需要が高まった2020年の入職率は、前年差と比べるとかなりプラス傾向にあります。
新卒者の離職率を表す「753現象」
離職率が高まる原因として、若年層の早期退職が課題に挙げられることも少なくありません。若手人材を採用したものの、なかなか定着せず困っている企業も多いのではないでしょうか。
そこで、厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」から読み取れる、新卒者の離職率の現状や全体の傾向について解説します。
「753現象」とは
新卒者の離職率を分析するうえで、理解しておきたい言葉があります。それは「753現象」とよばれるもの。
これは、新卒者は3年以内に退職する割合が高いことを意味した言葉です。新卒者を学歴別に見ると、「中学卒業者=7割」、「高校卒業者=5割」、「大学卒業者=3割」が離職する傾向が見られることから「753現象」とよばれるようになりました。
学歴別に見る新卒者の離職率
では、現在も「753現象」は続いているのでしょうか。厚生労働省が調査した「学歴別就職後3年以内離職率の推移」によると、2018年時点の新卒者の離職率は、中学卒業者が55.0%、高校卒業者36.9%、大学卒業者が31.2%にのぼります。
2000年のピーク時には、中学卒業者が73%、高校卒業者50.3%、大学卒業者が36.5%にも達したことと比較すると、新卒者の離職率は減少傾向にあることが分かります。しかし、いずれにしても若年層の離職割合が高いことに変わりはなく、企業としては有効な対策を講じる必要があるでしょう。
新卒者の離職率が高い理由
そもそも、新卒者の離職率が高くなる理由は何なのでしょうか。それぞれ退職理由や事情は異なるものの、主な原因として挙げられる内容を紹介します。
- 業務内容のミスマッチ
入社前に説明を受けた業務内容と、実際に現場に配属されてからの業務内容に乖離があると、仕事に対するモチベーションが低下し失望するケースもあります。
早期退職を防ぐためには、配属先や業務内容を十分精査するとともに、入社後に配属先が変わる可能性もあることをあらかじめ提示しておくことが重要です。
- 給与や福利厚生などの待遇、条件
仕事内容には十分満足しているものの、給与や福利厚生がそれに見合わないと感じると退職に至るケースもあります。特にサービス残業や長時間労働が常態化していると、「この先も長く働き続ける自信がない」と感じ、心身に不調をきたしてしまう社員も出てくるでしょう。
労働環境や待遇の見直しは、離職率を抑止するためにも企業がとるべき基本的な対策のひとつといえます。
- キャリア形成が見込めない
単調な作業の繰り返しばかりの業務や、専門的なスキルや能力を生かせない業務では、今後のキャリアプランが見通せず早期退職に至ることがあります。
企業は社員と定期的にキャリア面談などを行い、本人が今後どのようなキャリアを希望しているのかをヒアリングすることも基本的な対策のひとつといえるでしょう。
離職率を正確に把握し採用活動に役立てよう
人材の定着化を図るためには、まずは自社の離職率を正確に把握し、同業他社と比較することが重要です。もし、明らかに他社と比べて離職率が高い場合には何らかの原因があるはずです。離職につながる原因はさまざまで、今回紹介したポイント以外にも考えられる原因は存在します。
特に新卒者の場合には、採用時のミスマッチも考えられます。これを解決するためには、候補者の得意なことや長所を見極める必要がありますが、決して簡単なことではありません。
だからこそ、採用の大きな味方となる「採用代行サービス」をご活用ください! 人材採用の経験が豊富な担当者が代行することで、採用時のミスマッチを低減し、離職率を抑えることにも貢献できるでしょう。
参考:
- 主な用語の定義|厚生労働省
- 結果の概要|厚生労働省
- 産業別の入職と離職|厚生労働省
- 離職率とは?【知らなきゃマズイ】離職を防ぐ7つの方法 – エンゲージ採用ガイド (en-gage.net)
- 離職率とは? 753(シチゴサン)現象、企業ランキング、改善例2選、計算方法 – カオナビ人事用語集 (kaonavi.jp)
- 学歴別就職後3年以内離職率の推移|厚生労働省
- 新卒入社3年以内離職の理由に関する調査|Adeccoグループ
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