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企業と労働者の双方が安心して副業・兼業を行えるよう、2020年9月に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定しました。これは法律改正ではなくあくまでもガイドラインですが、政府が副業・兼業を推奨していることに変わりはありません。
そこで今回は、ガイドラインの改定ポイントを紹介するとともに、なぜ政府は副業を推奨しているのか、副業の解禁にあたって企業がとるべき対応も含めて解説します。
「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の改定ポイント
働き方改革の推進、および副業や兼業を希望する労働者が増加していることから、政府は2018年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定しました。2020年9月にはガイドラインの一部が改定されましたが、どのような内容へ変更されたのでしょうか。特に重要な改定ポイントを紹介します。
副業・兼業の解禁を促進
「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の改定ポイントを理解するうえで押さえておきたいのが、「モデル就業規則」です。これは、企業が就業規則を策定する際の参考資料として厚生労働省が公表しているもので、就業規則のベースとなる存在といえるでしょう。
従来のモデル就業規則には、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という記載がありました。ところが、2018年にこの記述が削除され、次のような文言が追加されています。
「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」つまり改正後の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、企業に対して副業の解禁が推奨されたのです。
副業・兼業の注意点
また、副業の解禁にあたっては、次のような要件が求められることも明記されました。
・安全配慮義務
・秘密保持義務
・競業避止義務
・誠実義務
上記の4つの義務に反し、企業が不利益を被る可能性がある場合には副業を認めないことができる、としています。
このように、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の改定によって、企業は従業員の副業や兼業を原則的に認めるべきとしています。しかしその一方で、注意すべき事項として、企業と社員間での十分なコミュニケーションが求められることも付け加えられました。
つまり副業・兼業の解禁において企業は、雇用関係の安定を成立させる仕組みづくりをすべきといえるでしょう。
政府が副業を推進する理由
働き方改革の一環として副業が推進されるようになった背景には、さまざまな理由が挙げられます。なぜ政府は副業を推進する立場となったのか、その理由や背景にあるものを紹介しましょう。
多様な人材が活躍できる社会の実現
日本では長らく少子高齢化が進み、すでに人口減少時代へ突入しています。2020年の国勢調査では、日本の総人口は5年前に比べて約86万人も減少していることも判明。
人口減少が続くということは、社会で活躍する現役世代も今後は減り続けていくことも意味しています。そのようななかでも企業が生産性を維持して経済成長を続けていくためには、多様な人材が活躍できる働き方が不可欠です。
従来のような画一的な働き方ではなく、多様な人材が活躍できる働き方が求められています。
オープンイノベーションの促進
技術革新のスピードが加速している現在、継続的な成長を実現するためには従来のビジネスモデルからの脱却と新規事業の創出が不可欠です。
副業によって得られるスキルや知見を本業にかけ合わせることで、異業種の技術やアイデアを応用したイノベーションが促進され、これまでにない新たなビジネスが誕生すると期待できます。
所得の増加
副業に取り組む労働者にとっての大きなメリットが、所得の増加です。本業を続けながらも、それとは別に新たな収入を得られれば、所得が増加し経済的な余裕が生まれます。
日本では長引く景気低迷によって平均年収が横ばいに推移している現状があります。しかし、従来のように本業のみで生計を立てるのではなく、副業に取り組む国民が増えると、所得は倍増し、景気回復が期待されます。
地方創生
若年層を中心とした世代は働き口を求め、地元を離れ都市部へと生活拠点を移すケースが少なくありません。その結果、都市部と地方では大きな経済格差が生じています。
しかし、ここ数年の間にリモートワークが普及し、場所にとらわれない働き方が定着しました。都市部だけでなく、地方の企業もリモートワークに対応できる副業人材を活用することで、特に地方で深刻化している人手不足が解消され事業の成長につなげられることでしょう。
ガイドラインの変更に伴い企業に求められる対応
「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の変更に伴い、企業にはどのような対応が求められるのでしょうか。押さえておきたいポイントを3つに分けて紹介します。
就業規則の改定
現在、就業規則へ「原則として副業や兼業を禁止」の旨を記載している場合、厚生労働省が公表しているモデル就業規則を参考にしながら、内容を見直してみましょう。
ただし、副業を解禁することは、社員の健康管理や労働時間の適正な把握などが必要になるため、企業にとって必ずしもメリットばかりとは限りません。しかし、企業が就業規則のなかで副業を禁止するには合理的な理由が求められます。
たとえば、モデル就業規則では以下の項目に該当する場合、副業を禁止または制限できると記載しています。
- 労務提供上の支障がある
→例)副業が深夜にまでおよび、十分な休息がとれない
- 企業秘密が漏洩するおそれがある
→例)他社へ機密情報が漏れてしまうリスクがある
- 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある
→例)詐欺など反社会的な行為に該当するもの
- 競業により、企業の利益を害する
→例)競合他社での就業
副業を個別に判断する必要がある場合には、許可制として運用することも検討しましょう。
副業許可申請書の作成
副業を許可制として運用する場合、個別に内容を審査するために申請書のフォーマットを作成しておきましょう。
副業許可申請書は特に決められたフォーマットはなく、企業が独自で用意する必要がありますが、取り入れる項目としては以下のようなものが考えられます。
- 就業内容
- 就業場所
- 雇用の有無
- 就業期間
- 就業時間帯 など
労働時間管理
アルバイトやパート、正社員など、副業先で雇用契約を結ぶ場合には、本業と副業との通算で労働時間を管理する必要があります。
当然のことながら、副業を含めた通算で所定労働時間を超えた場合、企業は割増賃金を支払わなければなりません。そのため、自社だけでなく、副業先での労働時間を把握するための仕組みを作る必要があります。
なお、これはあくまでも副業先が正社員やパート、アルバイトなどの雇用契約を結ぶ場合に限られ、フリーランスや個人事業主として副業を行う場合には適用されません。
ガイドラインを参考に副業推進に取り組もう
2020年に改定された「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、企業は従業員の副業を原則として認めるべきであることが示されています。
しかし、副業の内容によっては企業が不利益を被ることもあるため、労使間で十分なコミュニケーションをとることが重要といえるでしょう。
ガイドラインの内容はもちろんのこと、厚生労働省が公表しているモデル就業規則なども参考にしながら、副業推進に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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