【2026年 採用トレンド予想】「反響型採用」の終焉と「提案型採用」への移行
こんにちは。白潟総合研究所の永田です。
新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今回のコラムのテーマは
「2026年採用トレンド予想 『反響型採用』の終焉と『提案型採用』への移行」です。
採用市場は年々厳しさを増していますが、
これは景気や一時的なトレンドの問題ではありません。
もっと根深く、構造的な変化が起きています。
本コラムでは、
・なぜ従来の反響型採用が限界を迎えているのか
・これから中小ベンチャー企業が取るべき採用の在り方とは何か
について、「2026年の採用トレンド予想」という視点から整理してお伝えします。
2026年、日本の採用市場で何が起きているのか
― 採用市場はすでに「斜陽産業」の構造に入っている
まず最初に押さえておきたいのは、
日本の採用市場は、「斜陽産業」と同じ構造になってきているという事実です。
斜陽産業とは、市場規模や需要が長期的に縮小し、
成長が見込みにくくなっている産業のことを指します。
これと同じ現象が、昨今の採用市場でも起きています。
リクルートワークス研究所の調査によれば、日本はすでに労働供給制約社会に突入しており、2030年には約341万人、2040年には約1,100万人の労働供給不足が発生すると予測されています。
これは「人手不足」というレベルの話ではなく、人口動態に基づく、ほぼ確実な未来です。

つまり、日本の採用市場は、
・求人数は増え続けるが、求職者は減少する
・ただ単に求人媒体に掲載するだけでは、人が集まらなくなった
・中小企業ほど、画一的な採用活動では勝ちづらくなる
という、「従来のやり方では勝てない」市場であり、
斜陽産業と同じ構造に陥っているということです。
2026年以降の勝ち筋は「数」ではなく「深さ」にある
― 斜陽産業では「ニッチ生き残り戦略」しかない
斜陽産業における勝ち方は、「もっと、もっと」ではありません。
・いかに本当に必要な人に
・本当に必要な価値を提供できるか
「ニッチ生き残り戦略」、これこそが唯一の勝ち筋です。
採用も同じです。
すべての人に好かれる会社になる必要はありません。
むしろ、それは不可能です。
「この会社、めちゃくちゃ刺さる」
そう感じる人が一定数いればいい。
その代わり、「刺さらない人」が明確であることも忘れてはいけません。
採用における「ニッチ生き残り戦略」が、2026年はキーワードになると考えています。
「応募数を増やす」という発想が、もはや通用しない理由
― 母集団形成という幻想を捨てるところから始める
この状況下で、「応募数を増やす」ことをゴールにした採用は厳しくなっていきます。
TikTokやXなどのSNS発信、採用HPの刷新…などの、採用ブランディング。
求人媒体、スカウト、広告、バズることを目的としたTikTok運用などの「いかに多くの求職者に認知してもらい、エントリーしてもらうか」という取り組みは、効果が出づらい局面に入っています。
ここ数年で一気に一般化しました。求人媒体、スカウト、広告も然り。
これらはすべて「全企業が横並びの条件で勝負する場所」になります。
資金力、知名度、給与、福利厚生などの条件面。
どれも中小ベンチャー企業が不利になりやすい要素です。
求職者がどんどん減っていく採用市場でとにかくたくさんの応募者を集めようとする活動は、下りのエスカレーターを一生懸命上がるようなもの。コストパフォーマンスがどんどん悪くなっていきます。
「応募数を増やせば、いい人に出会える」
この前提そのものが、すでに幻想になりつつあります。
以上を踏まえた上で、2026年の採用に関しての提言。
それは、「10人集める」よりも、「1人に深く刺す」ことです。
この発想に切り替えられる企業だけが生き残っていくのではないでしょうか。
これからの採用は「反響型」から「提案型」へ
― 待つ採用から、「提案する採用」への転換
これからの採用は、反響型採用から、提案型採用へ大きくシフトしていきます。
反響型採用とは、
・広く認知を獲得する
・求人を出す
・後は、応募を待つ(応募がくるかこないかはコントロールできない)
・給与や福利厚生などの諸条件で判断してもらう
というスタイルです。
一方、提案型採用は、
・本当に自社に合う人を見極め
・相手のニーズを聴いたうえで
・自社を「提案」する
というスタイルです。
目指すのは、
本当に自社に入るべき人を、ほぼ100%に近い承諾率で採用すること。
これこそが、「提案型採用」で目指す世界です。
提案型採用を成立させる3つの条件
― ここが曖昧なままでは、絶対にうまくいかない
では、ここからは「提案型採用」を実現する上での3条件について書いていきます。
① とがった「特定の人」に刺さる会社であること
「うちはいい会社です」
この言葉は、誰にも刺さりません。
提案型採用において重要なのは、
「誰にとって、どんな意味がある会社なのか」が明確であることです。
ここが曖昧なままでは、提案のしようがありません。
私のお客様でも、覚悟を持って「こんな人にとっていい会社です」を言語化し、
求職者に社長自ら伝えるプロセスに変更されました。
その結果、「自社が大事にする価値観・らしさ」に共感した人だけが選考に残り、
未来ある採用成功を実現されています。
「たくさんの応募を集めるために、いいことを頑張って伝えよう」という姿勢だと、
成し得なかった結果ではないでしょうか。
万人にとっていい会社は存在しません。
“たった1人”に強烈に好かれる会社をつくりましょう。

② なぜその会社なのかを語れる「ストーリー」があること
― らしさ・歴史・想いが、一本につながっているか
条件ではなく、ストーリーで惹きつける。
売り手市場で条件勝負を続けると、大手企業や知名度がある企業には勝てません。
・給与
・休日
・福利厚生 etc
この文脈で勝負するのではなく、
・どんな想いで会社を経営しているのか
・どんな”らしさ”があるのか
・どんな歴史があるのか
・なぜこの事業をやっているのか
・なぜ今の形になっているのか etc
これらが、一本のストーリーとして語れるかどうかが大事です。
採用市場においては、条件ではなく「ストーリー」で選ばれる会社が生き残る。
そんな時代に入っていくと思います。
以下、研究理論でもストーリーの重要性は提唱されています。
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●研究理論の紹介
ナラティブ・トランスポーテーション理論(Green & Brock, 2000)
人は「物語」で意思決定する。
人はデータ・事実よりストーリー(物語)に触れたときの方が、
納得しやすく態度変容が起きやすいという研究。
ストーリーに「没入」すると批判的思考が弱まり、感情的な共感が強くなる。
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また、ストーリーで惹きつけることができると、他社との単なる差別化ではなく、
「自社独自のカテゴリー」という強烈な”ちがい”にも繋がります。
著:「急成長企業だけが実践するカテゴリー戦略 頭に浮かべば、モノは売れる(田岡凌氏)」にも、以下の見解があります。
・競争の時代から「選ばれる前に、思い出される時代」へ。
・顧客の頭の中に「選択肢として浮かぶこと」が最大の競争優位。
「求職者の脳内で、どんなカテゴリー(=企業)と認識されるか」は大切です。
そのためにも、「ストーリーを語る」ことは必要不可欠な要素だと思っています。
③ 求職者のニーズを聴いたうえで、自社を提案できること
― 面接は「評価の場」ではなく「相互理解の場」へ
これからの採用で、最も重要になるのは「聴く力」です。
面接は、企業が一方的に見定める場ではありません。
求職者が何を求め、何に不安を感じ、どんなキャリアを描いているのか。
それを丁寧に聴いたうえで、
「そのニーズに対して、うちの会社ならこういう価値を提供できます」
と提案できるかどうか。
“評価”をやめて、“相互理解”へ。
この転換ができる企業だけが、提案型採用を成立させることができます。
まとめ:企業が取り組むべき5つのアクション
ここまでのまとめとして、5つのアクションを整理します。
⓪ 表面的な採用ブランディングという「お化粧」をやめる
採用ブランディングと聞くと、採用サイトのデザイン刷新や、キャッチコピーづくり、SNS発信の強化を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、それらが「中身の変化」を伴っていない場合、単なるお化粧で終わってしまいます。どれだけ見た目を整えても、実態とズレていれば、入社後のギャップや早期離職を招くだけです。
これからの採用で本当に必要なのは、見せ方を磨くことではなく、「なぜこの会社は存在しているのか」「何を大切にしているのか」という根っこの部分を明らかにすることです。
表面的なブランディングに時間やお金、エネルギーを使う前に、
まずは自社の中身と向き合うことが大切ではないでしょうか。
① 自社の「らしさ」を言語化する
提案型採用の土台になるのが、自社の「らしさ」の言語化です。
ここでいう「らしさ」とは、雰囲気や社風といった曖昧なものではありません。
なぜこの事業をやっているのか、どんな価値観を大切にしているのか、
どんな選択を積み重ねて今の会社があるのか。
こうした意思決定の背景や考え方を言葉にすることが重要です。
「いい会社です」「成長できます」といった抽象的な表現では、誰にも刺さりません。
自社の歴史や失敗、譲れなかった価値観を丁寧に掘り下げることで、
初めて他社との違いが浮かび上がります。
この「らしさ」が明確になるほど、採用はブレなくなり、一貫性が生まれます。
② その「らしさ」にハマる人材像を定義する
自社の「らしさ」を言語化できたら、
次に必要なのは、その「らしさ」にハマる人材像を定義することです。
重要なのは、「優秀な人」や「即戦力」といった抽象的な定義をやめること。
どんな価値観を持つ人が、どんな場面で力を発揮し、どんな挑戦にワクワクするのか。
逆に、どんな人には合わないのか。
ここまで踏み込んで考える必要があります。
すべての人に好かれる会社を目指す必要はありません。
むしろ、「この会社は合わない」と感じる人がはっきりすることこそが、採用の精度を高めます。
「誰でもいい」ではなく、「この人に来てほしい」と言い切れる状態をつくりましょう。
③ 「らしさ」が刺さる採用ピッチ資料をつくる
採用ピッチ資料は、単なる会社紹介資料ではありません。
提案型採用におけるピッチ資料の役割は、
「この会社で働く意味」を候補者が具体的にイメージできるようにすること。
そのためには、事業内容や制度の羅列では不十分です。
なぜこの事業を選び、なぜこのやり方を貫いているのか。
どんな覚悟を持った人たちが、どんな課題に向き合っているのか。
こうしたストーリーが伝わる構成にする必要があります。
「らしさ」を軸にしたピッチ資料は、すべての人に刺さるものではありませんが、
ハマる人には強烈に刺さります。
その結果、承諾率が高く、入社後の納得感も高い採用につながります。
④ 面接を傾聴・提案型に切り替える
提案型採用において、面接の役割は大きく変わります。
これまでのように、企業が一方的に評価し、見極める場ではありません。
まず大切なのは、求職者が何を求め、何に不安を感じ、どんなキャリアを描いているのかを丁寧に聴くことです。そのうえで、「そのニーズに対して、自社ならどんな価値を提供できるのか」を提案する。この順番が重要です。
評価が先に立つと、提案はできません。
“評価”から“相互理解”へと面接の在り方を切り替えることで、ミスマッチは減り、
納得感の高い意思決定が生まれます。
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大事なことは、ここにまとめた各アクションを「点」で捉えるのではなく、
「線」で設計するということです。
※線で捉えるために、一番効果的な方法は「リファラル採用」です。
この辺りは、ご興味あれば別途お話できればと思います。
2026年の採用に向けて
2026年の採用は、「反響型採用」から「提案型採用」に。
この在り方に移行することで、採用市場で確実に結果が変わっていきます。
今回お伝えした内容、そして5つのアクションについて、「自社だったらどうすべきなのか?フランクに壁打ちしてみたい!」という方も大歓迎です。
ぜひ以下リンクよりお気軽にご連絡ください!
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XへのDMでも大丈夫です!
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それでは、本年も白潟総合研究所をどうぞよろしくお願いいたします。
執筆 / 永田 圭