【なぜ上場をやめた?】4年で450%成長した社長が語る「経営判断」の本質【サムシングファン/薮本直樹 代表/後編】

動画でわかること

  • 上場企業グループに入って得たものと、唯一の後悔
  • 上場子会社ではなくなった翌日に、緊急事態宣言が出た
  • 申請の一歩手前まで進んで、上場をやめた理由
  • 経営の「法定速度」は時速何キロか
  • 社長が見るべきは、市場・時代・幹部・社員の4つ

1分で読める要約

株式会社サムシングファンは、クリエイターを基盤としたビジネスを展開する会社です。代表取締役社長の薮本直樹さんは、上場企業グループであるウィルグループに入っていた4年間で、会社を450%以上成長させました。後編では、2020年のマネジメントバイアウト後、コロナ禍と重なった「第3フェーズ」の経営判断を中心に伺いました。

核心は、上場申請の一歩手前まで進みながら、上場をやめた決断です。上場を目指すうちに、クリエイターの役に立つという使命と数字の目標が噛み合わなくなり、一人ひとりが早く行きすぎて組織に悪影響が見え始めたといいます。薮本さんは「上場準備が悪いんじゃなくて、僕らがその器に至ってなかった」と振り返ります。速く走ること自体は否定せず、幹部や社員がどこまでついてこられているかを見て経営のスピードを決める大切さを語っています。

動画では、グループ入りで唯一後悔していること、上場子会社でなくなった翌日に緊急事態宣言が出たコロナ禍の乗り越え方、社長の最大の仕事とは何か、そしてサムシングファンの今後の展望についても語られています。

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00:00 ダイジェスト
00:29 本編開始
00:37 グループイン後の変化
05:27 グループアウトの経緯
07:37 第3フェーズでの気付き
18:34 サムシングファンの展望
21:19 エンディング
21:53 エンドカード

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文字起こし(音声認識)を読みやすく整形したものです。実際の発言と細部が異なる場合があります。

グループイン後の変化

石川:ウィルグループに入ってから2つ目の時代が始まっていくと思うんですけど、このウィルグループではどんな経営トピックがあったんでしょう?

薮本:期間にしたら実はわずか4年なんですよね。中期経営計画も1ターム終わるぐらい、3年終わるぐらいな感じでした。一言で言って最高の4年間でしたね。元々ウィルグループっていう会社は人材の会社でして、人材グループとして成長していく中で、当時はですね、色々コングロマリットプレミアムというか、いろんなタッチポイントを市場に持っていこうっていう動きで、そのうちの1社として私たちとも事業資本提携していただいたと同時に、グローバルにも非常に挑戦をされてる会社でした。なので、まさにウィルグループ自体が成長期だったんですね。

薮本:そのウィルグループの中にはいろんな部署、事業会社がある中で、そこにそれぞれトップがいるわけですよね。で、僕はその人たちのことを将軍って呼んでて、やっぱり彼らとのセッションやお話から学ぶことがめちゃくちゃ面白かったですね。で、そこが事業部門で、もちろんすごく勉強になりましたし、管理本部に非常に優秀な方々が揃っておられましたので、財務的な視点だったりとか規程だったりとかですね、そういったものをどんどんフルスピードで制度設計とか枠組を作るのをお手伝いいただきました。

薮本:好奇心が満たされるどころの話じゃないですよね。こういうことかみたいな。もちろんウィルグループ自身もまだまだ成長過程だったんでしょうけど、僕らよりはるかにちゃんとしてる仕組みというか、それを一気に学ばせてもらえる感というか、本当に2時間アクション映画を見てるみたいな、そんな4年間でした。

石川:今のマインドセットというか心持ちっていうのが、素晴らしいグループインにする時に大事な考え方なのかもしれないね。

薮本:そうですね。僕も非常に感謝してるのが、前の回でも出てきてるんですけども、やっぱり会社を売るってこと自体、初めてじゃないですか。やっぱ不安もありますよね。だから実際にやった人に経験を伺いに行ったんですね。本当5人ぐらいに伺いに行ったんですけど、そのEOっていう会は、同じメンバー同士であれば守秘義務前提にて、色々自分たちの経験や葛藤をお話ししてくれる。必ず喋ってくれるわけじゃないですよ。でも信頼関係があればそこをベースにされてる会ということもあって、本当にありがたく、初めてお会いした方でもそういうお話をしてくれたんですね。

薮本:で、僕1時間のアポイントで行ってるのに、これ絶対2時間かかるからって、資料も全部ご用意いただいて、こういう意図で自分は意思決定したけど、実際中に入ってみるとこういう課題があって、とかそういう話を全部してくれたんですよ。だから彼らから得た気づきをですね、僕は全部自分の意思決定の判断軸に変えたんですよ。それがウィルグループが僕の中でめちゃくちゃ条件に合ってたんですね。

石川:なるほど。

薮本:で、実際、思い描いた通りにやっぱりそこの枠組がはまったと思ってます。ウィルにとってのメリットがどんだけあったかはちょっとさておきなんですけど、それは僕が評価することじゃないんですけど、僕らにとっては実際に4年間で450%以上の成長をさせていただいて、非常に力強い会社の枠組を作るご協力をいただけたなと思ってます。

薮本:で、唯一ちょっと後悔があるとしたら、これは実際にグループアウトしてから当時の会長とかにもお話ししたことがあるんですけど、ウィルの仕事もやりたかったんですよ。僕らもっとポジションをいただいたりとか、ウィルの中で役割をいただけばよかった。もっと強く言えばよかった。これ結構言ったんですけど、さらっとかわされちゃって、後日それを言った時に「そんなこと言ってたっけ」って言われたんですよね。もっと強く言い続ければよかったなっていう。

薮本:これだけちょっと後悔してるんで、今M&Aの経験シェアとかをもらいに来ていただける方にはそれ結構言ってます。グループインするなら絶対本体の中で役割とかポジションをもらいに行った方がいいと。ただ、子会社としてはもう別に何の問題もないというか、非常にご支援いただきました。

石川:学習成長に貪欲になるなら、そのグループ内の仕事を取りに行けたらもっとよかったなって。

薮本:そうですよ。だから本当、前編で出てたキーワードですけど、末っ子気質なんで全部弟キャラで行けるわけですよ。「教えてください。本部のこととかわかんないんで」みたいな。「これから僕ら人材事業とかにも進出していくんで、提出とか規定整備とかめっちゃ大変で、3ヶ月ぐらい来てもらっていいですか?」みたいな。「3ヶ月も行くんですか?」「じゃ、1ヶ月、1ヶ月でやり切ってください」みたいな。

石川:1回こうかますのって、末っ子力高い人の特徴ですよね。1回そのケーキ全部だって言って、半分だけはもらうみたいな。

薮本:親会社が経営指導してくれてるわけですよね。経営管理料っていうのを子会社としてはお支払いするわけです。これも当然のことですよね。

薮本:その金額交渉とか……。

石川:したんですか?

薮本:もちろんです。

石川:まあまあ、本当に強気な末っ子力。

薮本:ウィルグループはすごいじゃないですか。いや、確かにめちゃくちゃ優秀な方ばっかりで、お時間いただくとすごい単価がかかってるのは分かってるんですけど、「僕らが成長することによって営業利益これだけ出すことにコミットしますから、なんとか当期はこの金額でいけないですかね」みたいな。

石川:あんだけ将軍に感謝してるけど、一旦経営指導料を減らす。

薮本:本当に苦笑いされまくりました。

石川:それがこう薮本さんの可愛いところなんでしょうね。僕は薮本さんの年下ですけど、薮本さんって年上だけじゃなくて、横も下も含めて全方位に好かれるじゃないですか。それってすごい力だなって思います。

薮本:そうですよね。だから、喋ってると思うのが、メンバーにもそれができたらいいんですけどね。「〇〇さん、これをお願い」とか。やっぱりちょっとメンバーに対しては若干社長風で行ってしまうっていうところが課題感ですよね。

石川:パナソニックの松下幸之助さんもおっしゃってましたけど、成功する経営者は運と愛嬌だと。愛嬌1億万点ですもんね。すごい、薮本さんくらい可愛くなれたらなと思うんで、ちょっとまた学ばせていただきます。

グループアウトの経緯

石川:それで4年でグループアウトしようって。

薮本:はい。グループアウト自体はですね、本当に僕らがどうこうとかウィルグループがどうこうよりも、やっぱりウィルとしてはグローバルをしっかりと伸ばしていくっていう中で、本当その後も成長されてますし、当時僕、役員持株会で株も定期的に購入させていただいて、一生多分売らないですけど。やっぱりウィルグループって会社が価値をどんどん社会に出していく上で、彼らの方針っていうのもありますね。で、僕らは僕らで、そこに対してコミットできる範囲がどうしても少なかったと。

薮本:なので全然本当ネガティブなく、お互い対話をした結果、いろんな選択肢があったと思うんですね。ウィルグループの持ってる株を別の会社に売却していただくとかもあるかもしれませんし。でも当時、ちょっと僕らも考えてなくて、だったら買い戻しをさせてほしいと。マネジメントバイアウトですね。そこに全面的にご協力いただけたっていう感じです。

石川:4年間で450%以上成長してからのマネジメントバイアウトだったら、相当ウィルグループさんにもこの4年間のお礼をできたんじゃないですか。

薮本:そこはちょっとあんまり言えないところなんですけど、買い戻しに関して、具体的なやっぱバリューの設定っていうところは、どうしても買い戻す金額があまりにも莫大だとちょっと難しいっていうところもありますから、そこも慎重に協議をいただきながらすり合わせをいただいたんですが、結論から言うと、ウィルグループが本当にそこに真摯に向き合っていただいて。で、あともう1つはやっぱ、感謝というか、金融機関がやっぱそこにちゃんと乗ってくれたことですよね。

石川:ウィルグループさん、結構積極的にM&Aされてるじゃないですか。ウィルグループさんのM&Aっていい噂しかないですよ。

薮本:そうですね。

石川:うちも小規模M&Aやってますんで、いつかウィルグループさんに持ち込みたいと思います。

薮本:ぜひお願いします。

石川:本当いい会社ですよね、ウィルグループさんって。

薮本:考え方がめちゃくちゃすっきりしてます。変に愛情深いとかでもないんですよ。でもめちゃくちゃドラスティックで合理的、自分の利益しか考えないでもないんですよ。つまりフェアトレードなんですよ。そこがめちゃくちゃ気持ちいい会社ですね。徹底してます。

石川:変にこう愛情深すぎちゃっても逆に……。

薮本:そうです。情に絡んでどうこうって判断もないですし、ウィルグループだけ得したらいいっていう発想もない会社です。

石川:公正に正々堂々、フェアだから。

薮本:そうですね。

石川:本当にウィルグループと付き合った会社さんって、みんなハッピーって話を聞く。

薮本:そうですね。うまくいかないってことはたくさんあると思うんですけど、それが恨み節になってるかっていうとそうじゃないってことですよね。

薮本:うまくいかなかったことに対しても、お互いにっていう感じなんですよ。事業だから、それもうあるよっていう話です。

第3フェーズでの気付き

石川:で、そこからまたマネジメントバイアウトされて。

薮本:はい。第3フェーズですね。2020年ですよ。もうまさにここからコロナです。まさにその株の買い戻しのディールが終わったのが春ぐらいなんですね。本当にここからだみたいな話じゃないですか。3月ぐらいだったと思うんですよ。そこから緊急事態宣言。

石川:そうですね。ダイヤモンド号がうんたらかんたらくらいの時期ですね、多分ね。

薮本:不安しかないですよね。上場子会社じゃなくなったその翌日に緊急事態、どうなるんだみたいな。でもこれ面白いなと思ったのが、経営者って危機に燃えるんですよね。緊急事態宣言で会社に行ってもどうしようもないとか、発注もバッと止まっていく、撮影もできないっていう中でワクワクしちゃうわけですよ。どうなんのみたいな、楽しいってなるわけですね。

薮本:かっこいいこととか言うじゃないですか。「もう全員ステイホームで、会社来なくていいから家族のこと大事にしろ」とか言っちゃうわけでしょ。俺かっこいいってなるわけですよ。その意思決定の連続がめちゃくちゃ面白い。で、もちろん会社が潰れるかもとか一部ありますけど、でもワクワクするっていうのが正直なとこですよね。これで会社を守りきれたら、また1つ僕ら強くなれるよね。

薮本:で、社員には入ったばっかりの人とかもいますから、できるだけやっぱ安心してもらって。めちゃくちゃ語弊ありますけど、何の危機もない、何にも問題がない会社で社員の心を1つにするのはまあ難しいと思うんですけど、危機なんでみんなもめっちゃ素直なわけですよ。

石川:なるほど。

薮本:だから楽しいですよね。みんなと一緒にやれるっていうのが経営者の幸せ。利益とか売上が上がってることももちろんそうなのかもしれないですけど、メンバーとか幹部と一緒にやれてる時が1番幸せじゃないですか。危機でもいいんですよ。一緒にやれてればハッピーなんで、その結果楽しかったですね、コロナっていうのは僕らにとっては。

石川:まさにそのコロナのプロセスも、「これピンチだ、燃えるぜ」「楽しいな」って言いながら、そのプロセスを愛せたんですよね、全員で。

薮本:ただ一方で、社会としては良くないことじゃないですか。病気ですし、亡くなる方もいるし、そんな中で僕らができることってなんかないのかな。そこにやっぱ切り替わっていきますよね。と同時に、僕らが始めてたクリエイターのビジネスを一気にこの中でブーストさせるんですよ。これなんでかって言ったら、困ってるからですよね、クリエイターたちが。

薮本:だからもう家にいてやることない。じゃあ家にいてやれることやろうぜと。例えばライブコマースをやって、飲食店が困ってたんで、飲食店に「これ通販で売れるもんないですか?」って言って売るとか。別にそれでその飲食店の方の経営がもうフルで成り立つかっていったらそんなこともないですけど、でもやっぱ全員、今やってることに意味があるって思えることをどんどん生み出していこう、ポジティブなアイデアをどんどん生み出そうって時期でしたよね。結果としてそれが商売として成り立っていくって面もあって、やっぱライブ配信の需要が一気に伸びるとか。

石川:僕、白潟から教わった言葉で、「ピンチャン、ピンチャン」って白潟が言うんですけど、ピンチはチャンスだと。それはこう燃えるみたいな意味もあるけれども、ピンチの時に全員で考えれば考えるほど次のチャンス、機会が生まれてくるんだみたいな、まさにそんな話ですよね。

薮本:で、結果として4月ぐらいはもう本当に日本全国が大変だったと思いますし、僕らも本当どうしていいかわからない中で、どんどんアイデアを出そうで、夏になって秋ぐらいに1回ちょっと落ち着くじゃないですか。Go Toとか始まったりとか。

石川:そう、ちょっとお酒飲みにみんなで行ってもいいのかなみたいな雰囲気になりましたね。

薮本:はい。あの時にやっぱり僕らも改めて、じゃあ僕らどうするって話になったんですよね。そこで上場を目指そうっていう目標を掲げたのと、当然のことながら自分たちの事業をどんどん強くしていこう、成長させていこうということを思ったんですけど、結論から言うとですね、今僕ら上場は目指してないんですね。N-1っていう、その上場申請の一歩手前ぐらいまでは行ってたんですけども。

薮本:色々理由はあるんですが、本当に会社として僕らが価値を感じる、世の中の役に立っていて自分たちが幸福感を感じるっていう使命の部分と、会社が強く大きくなっていることによって、結果その使命もたくさん叶えられてるわけですし、当然のことながらみんなも豊かになっていける成長っていう目的、数字の目的との整合性が合いづらくなっちゃったんですよね。だからどうしても予実っていう言葉が生まれてくるので。

薮本:1回決めた数字って、こっちが大事だったらですよ、どんどんチューニングすればいいじゃないですか。「今俺らもしかしたらあんまりクリエイターの役に立てれてないかもね。じゃあやり方変えようぜ」。当然のことながらそうなると行動量変わる、KPI変わる、じゃ、数字変わるよねって、素直にチューニングしていけなくなっちゃうんですよね。

石川:こうありたいよりも、こういう売上を立てますって言ったら、ここが大上段、絶対に約束になりますもんね。

薮本:はい。で、やっぱり組織崩壊の時によく出てたスピード、速さの話になっちゃうと、「遠くに行くならみんなで行け」っていうのを大事にしてる会社なのに、1人1人が早く行っちゃう。それが組織としてもすごく弊害が、例えば離職率が増えるとか、事業部の業績が落ちるとか、いろんな悪影響がもう目に見えてきた。そん時に上場やめよう。

薮本:上場することにはすごい意味はあると思います。その社会的ステータスが高まるとか、もしくはファイナンス調達の多様性が生まれるとか、すごく意味のある手段なんですけど、結論、上場準備が悪いんじゃなくて、僕らがその器に至ってなかったっていう。ここ素直に認めようぜ。もう本当、13年目に自分に矢印が向いた時と一緒ですよね。

石川:その捉え方面白いですね。僕、今薮本さんから「上場っていう手段が僕らの目的に合わなかった」っていう言葉が出てくるかなと思ったんですけど、もし器が足りてたら、目的を果たしながら上場も楽にできたはずだよねって捉え方なんだと思って。

薮本:そうです。そう。だから頑張って上場するって言葉がそもそも若干間違ってる。もちろん申請とか大変なんで頑張るんですけど、でも本来は上場するべき会社が上場するべきだと思うんですよね。

薮本:僕らがなんで上場したかったかって言うと、資金調達の多様性もさることながら、僕らが1番欲しいのって、クリエイターに信頼されたいんですよね。クリエイターと一緒に、例えば地方創生だったりとか行政との取り組みだったりとかを推進する上で、やっぱり日本っていう国においては上場会社っていう信頼性は使えるっていう、そういう思いだったんですよ。で、もちろんガバナンスがしっかりしてるとか、儲かるとか、時価総額を上げれるっていうことも、もちろん上場の本質ではあるんだけど、金融商品としてはそうじゃなくて、ちゃんとしてる会社、僕らパブリックっていうものにすごい思いがあるんで、そこを取りたかったんですよ。

薮本:で、実際僕らがクリエイタービジネスを始めた時って、上場子会社だったじゃないですか。だから東証、今プライムですけど、当初一部上場企業グループが始めたライバー事業だったし、クリエイター事業だったんですよ。やっぱ全然そこはクリエイターからの信頼性が変わるんですね。で、やっぱクリエイターはクリエイターでいろんな苦労してて、ちょっとクライアントからお金もらえなかったとか、理不尽なことされたとか、いっぱいあるわけですよ。

薮本:だから僕らは上場企業として「そんなことやりません」っていう約束と、もしやったとしたら彼らが戦える手段もあるっていうか、「こんな会社なのにこんなことやってるよ」みたいな。そこはなんか持ちたかったんですよ。より良くなるためであって、それがないとできないわけではないっていう本質はもちろんあるんで、そこは6年間かけていろんなことありましたけど、上場っていうのは手段としてはちょっと一旦優先度を下げて、そうじゃなくてやっぱり改めて、僕らはクリエイターの可能性を広げ、世界を開くところに対して向き合っていこうというのが、今この6年ほどですかね、第3ステージに入って結論がついたことです。

石川:薮本さんって、うちのCFO、「チーフ・ファン社長・オフィサー」っていう、お客様からうちの社外取締役をお願いさせていただいてて、薮本さんってそのCFOに就任いただいてるんですけど、僕とナンバー2の畦田が、会社としてスピードをグッと上げようみたいな、そこに苦しんでるっていう時に、薮本さんと、CFOのもうお一方のプラスバイプラスの室田社長が、すごい名言をもって止めてくれたじゃないですか。その背景が今全部見えたというか、だからあの時の一言にあんな説得力があったんだなって、震えるような思いが。

薮本:ここはフェーズのお話もあると思ってまして、早く行くっていうこと、それ自体に否定はなくて、急いだ方がいいと思うんですよ。人生有限なんで。なんですけど、誰がどこまでついてこれてるかだと思うんですよ。これが本当にちっちゃい会社だったら、別に社長1人が全速力でも究極いいと思うんですよ。で、1億超えて12人ぐらいの規模になります。僕も実際そこで1回立ち止まってますよね。

薮本:で、そこから500%ぐらい成長して、10億ぐらいまで持っていきます。ここは幹部と歩調が完全に合ってるかどうかだと思うんですよね。「五人六脚を幹部とやってます」みたいな感じです。だから、白潟総研さんの場合も幹部の方がいます、うちもいます。彼らとこうやって五人六脚やってて、1位で通過するっていうスピードはもちろんこだわるんだけど、こけないとか倒れないってことがめちゃくちゃ重要だと思うんですよね。

石川:早く走れるかっていうこと以上に、そこまで早く走る意味があるのかって、こう心の歩調が合うみたいな話もありますよね。そうじゃないと、こうしんどくなっていきますもんね。

薮本:今の経営のスピード感を仮に時速100kmまでって考えた時に、法定速度は80kmなんですと。でも俺らあえて「いや、100kmで行こうぜ」って意思決定できてるならいいと思うんですよ、全員で。そうじゃなくて、「今はちょっとメンバー育成とか、新しく入ってきたメンバーへの浸透とかもあるから、じゃ、60kmまで1回ペース落とそうぜ」っていうのもいいと思いますし、こういう風に語る必要性っていうのをものすごく感じた。

石川:ある種、経営者ってのは、会社の中の幹部もそうですし、社員もそうですし、もしかしたらお客さんとかビジネスモデルだとかっていうのを見ながら、それぞれのスピード感、時間軸ってのをこう合わせていく作業っていうのはものすごく重要なんです。

薮本:そう、そうなんですよね。ただやっぱり、市場とかお客さんは待ってくれないっていうのが僕の考えなんですよ。やっぱりもう変化のスピード、お客様のニーズのスピードは高まっていく一方だと思っていて、自分たちは品質とかそういったものは高め続けないといけない。ここは多少厳しくメンバーにも伝えていかないといけないと思うんですよね。これはでも愛情込みでいける話じゃないですか。でも会社全体の規模感とか業績みたいな話になっていくと、全身メンテナンスというか、ブレーキ壊れてないかとか、オイル交換できてるかとか、やっぱそこは必要なんだろうなと思うんですよ。

石川:これまた薮本さんも、EO大阪なんかも含めていろんな経営者さんと、あとウィルグループの経営者さん方とお会いする中で、僕もたまにお会いするんですけど、歩調なんかを合わせずに社長がアクセル全開で踏みながら、全体をこうついてこさせる、キングダムで言ったら信みたいな将軍もいるじゃないですか。

薮本:麃公将軍みたいなね。

石川:そうですね。

薮本:そこは結構僕答えが出てて、市場とそれを選択したタイミングが合ってる起業家は全然ありだと思う。

石川:ってことですね。

薮本:はい。勝手に伸びるんで。

石川:市場がグーッと伸ばしてくれるから、そこにちゃんとついていける。

薮本:僕らはやる市場にこだわってるんですよ。市場の伸びに勝手についていくみたいな意思決定はできないですよ。

石川:本当、経営者っていろんなことを見なくちゃいけないね。市場見る、時代見る、幹部見る、社員見る。こう見ていく中で、最適なスピードを、意思決定を自分らしくってことですよね。

薮本:そう、そうですね。永遠のテーマは「社長の仕事って何ですか」だと思うんですよね。それがフェーズによって、今は幹部を作るタイミングだとか、今は市場選定のタイミングだとか、いや、今は社員に理念浸透だとか、いや、今は数字に向き合うタイミングだとか、コロコロ変わるっていうのがなかなか大変なのかなと。もしかしたら社長の最大の仕事は、今自分がすべき仕事を間違えないことなのかもしれないですね。

石川:おっしゃる通りですね。ちなみに、僕ら白潟総研は、社長が社長らしく経営してて、目をキラキラさせながら、過去こんなことがあってって感動とか、当時を思い出して涙も含めながら、でも今楽しそうに目をキラキラして経営してるっていうのが1番いい経営状態だっていう風にお伝えさせていただいてて、まさにそうだと思うんですよ。

サムシングファンの展望

石川:そんなこう自分らしく、サムシングファンらしく経営していって、上場も今のタイミングではないっていう風に一旦置いといて、ここから3〜5年くらいのサムシングファンの展望ってのはどんな感じに?

薮本:事業で行くとですね、私たちクリエイターという、国の資産ですよね、宝を生かして、彼らが活躍するビジネスフィールド、ビジネスリソースをどんだけ出せるかってことに挑戦していて、これをクリエイターを基盤とした多層収益モデルっていう風に呼んでます。第1層は社内にインハウスクリエイターを入れての受託モデル。第2層は外のフリーランサーと協力しての請負だったり派遣、人材ビジネスモデル。第3層は個人の方にお声がけしての事務所。第4層は、SNSを活用されてる方々と協力してのUGCモデル。ユーザー視点でのコンテンツ支援ですよね。

薮本:で、僕らその次にですね、バリューアップ、自分たちが持ってるこの力を使って、自分たちがやっぱビジネスの主になっていくというようなことを模索していきたいと思ってます。これはこれで会社の方針で、国のことを考えると、やっぱ外との接点ですよね。

薮本:この円安基調の中でどれだけ外需を取っていけるか、自分たちの売上の柱にしていけるかってとこもすごく重要だと思いますし、高齢化していく中でも、いろんなこの事業が役立つポイント、地方創生だったりとかあると思うので、とにかく僕らは自分たちが1番どうすれば価値が上がるか、自分たちのミッションも「価値を映す」ですし、自分たちの価値を映せるかどうか、ここが事業フェーズで考えてることです。

薮本:組織フェーズで考えてることは、優秀な幹部とかいいメンバーが揃ってるなって思うんですよ。彼らがどうすれば本当に活躍できるのか、もっと意味のある生き方ができるのか。意味のある生き方って言うとちょっと上からですけど、それをすごく考えてます。僕は創業者なんで、創業者って僕めちゃくちゃ楽だと思ってまして、石川さんのように2代目としてバトンを受け継いで、それをさらにバトンリレーする人って、すごい責任重大じゃないですか。

薮本:で、やっぱりその白潟会長が素晴らしいと思うんです。まずピカピカの白いバトンが回ってきましたよね。これも困りません?ピカピカのまま回せるみたいな。これが普通の2代目さんって、真っ黒なバトンを拭きまくって「白地がようやく見えてきたよ」みたいなことを自慢げに言えるわけですよ。とにかく会社ってのはバトンリレー。これが1つ組織としては面白さだと思ってるので、僕は社長をやめるやめられないとかちょっとわかんないですけど、ピカピカのバトンをさらにピカピカに磨くとか、太くするとか、強くするとか、面白くするとか、増やすとか何でもいいんですけど、次の組織の世代にどう渡していくのかってことを考えながら。

薮本:それが究極ですよ。サムシングファンだけじゃなくても面白いなと思っていて、うちの若手がすごく成長して、ちょっと寂しいですけどうちを卒業して、でも次にめちゃくちゃ輝いてますとかっていうのも、僕からしたらもうめっちゃハッピーなんですよ。人生を共にする旅だと。社員も旅じゃないですかね。できれば生涯こう一緒に旅したいですけど、「10年めちゃめちゃ楽しかったよね」って、「でもここからこっちの道行くんだ、そっちの旅路も面白そうだよね。たまに聞かせてよ」みたいなのも込みで、活躍人材をどれだけ作れるか。これが組織フェーズで今ワクワクしてることですかね。

エンディング

石川:薮本社長、サムシングファン様から、ものすごいたくさんの学びをいただきました。ありがとうございました。今日どうしてもYouTubeだったので話しきれなかった内容もありますし、ちょっと後でこっそり教えてくれるよっていう話になったと思うんですけど、実は薮本さんと、11月東京、12月大阪で、薮本さんの経営の成功のポイント、ここを聞いていくようなセミナーを一緒にやらせていただきますので。

薮本:ありがとうございます。成功っていうかね、もがいた歴史、経験をご一緒できればっていうところですかね。

石川:ぜひ、そこのところご参加いただけたらと思います。じゃ、皆さん、今後も白潟総研チャンネルよろしくお願いします。では、薮本さん、改めましてありがとうございました。

薮本:ありがとうございました。

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