【優秀な人材は”採る”より”巻き込む”】外部人材で挑む中小企業の組織変革【池田金属工業/武井宏樹社長/後編】

https://youtu.be/Ey-34QCemIU

動画でわかること

  • 正社員採用が難しい中小企業の、副業・業務委託「プロ人材」活用術
  • 元キーエンス出身の営業人材と築いた"科学的営業"とKPI設計
  • 外部の専門家とつながって踏み出した、IoTベンチャーとの協業・新規事業
  • 外部人材を活かす要件定義と面接の工夫──「手を動かせる人」を選ぶ基準
  • 既存社員との軋轢という失敗から学んだ、外部人材の巻き込み方

1分で読める要約

「優秀な人材は、採るより巻き込む」——池田金属工業の武井宏樹社長は、正社員採用が難しい中小企業の現実を踏まえ、副業・業務委託というかたちで外部のプロ人材を積極的に巻き込んできました。科学的な営業手法を教わった元キーエンス出身の営業人材、IoT新規事業で協業したベンチャー企業など、その関わり方は多岐にわたります。

外部人材を活かす鍵は、要件定義と面接にかける時間。「手を動かせる人」「現場に降りることの大切さを理解している人」を基準に据え、面接だけで数時間、時には食事を共にしながら、相手の人生観と会社が提供できるものを丁寧にすり合わせるといいます。

動画では、既存社員との軋轢という失敗から学んだ巻き込み方の工夫や、「規模も魅力もまだ足りない中小企業だからこそ、ビジョンを言語化して人を惹きつける」という武井社長の考え方が語られています。

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00:00 ダイジェスト
00:36 本編開始
00:59 外部リソース活用の経緯
04:21 外部リソース活用の事例
08:59 外部リソース活用の工夫
12:55 社員と外部の方の関わり方
16:07 今後のビジョン
18:33 エンディング
18:49 エンドカード

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文字起こし(音声認識)を読みやすく整形したものです。実際の発言と細部が異なる場合があります。

本編開始

畦田:後編では、武井社長が本当に今上手く活用されている外部のリソースについて、ぜひ中小企業の経営者の方にも聞いてもらいたいところをお伺いしていきたいと思います。まずお伺いしたいのが、外部活用をするきっかけ・背景です。

外部リソース活用の経緯

武井:前編で少しお伝えしたように、使命や長期のビジョンは必死に考えて自分の中である程度作りました。ただ、理想を高く掲げてジャンルごとにいろいろやりたいことはあるものの、1つ1つの経験がないんです。例えば人事制度を作りたいと言っても、人事をやっていた経験も制度を作った経験もない。営業面でも「Do・Do・Do」だったものを、ターゲットを決めて科学的にデータを取って見える化するといっても、前職でも一部しかやっていなかったので、このBtoBのネジという産業材でどこまでできるかの経験がありません。これを1人で同時並行にやろうとすると無理があって、理想はあるけれど手が足りない。誰かがやらなければいけないけれど、共通言語がないメンバーに動いてもらうのも時間がかかる、と悶々としていました。もう1つ、大学院で学んだ「ポンコツでも頼ればいい、優秀な人たちは助けてあげてもいいと言ってくれる」という感覚も掴んでいました。ちょうど2017〜2018年頃は世の中的に副業が広がり始めた時期で、大学院の同期に聞いても、大企業で管理職クラスにいても経営を動かすほどの階層にはまだ届かず、学んだことを活かしたい場所がない、という優秀な人が結構いました。「経営直下でいろいろ手伝ってくれるの?」と聞くと「無料でもいいよ」というような話もあり、これはいつか活かせるのではと温めていました。

畦田:普通は採用しようとか、経営企画や人事の人を入れようとなりがちですが、そこは難しかったんですか?

武井:手段の1つとして考えはしましたが、魅力も資源も足りない中、優秀な人が来たとしても人事制度を1回作ればあとは回していくというところで、そこまで幅広くやれる奥行きも弊社にはまだない。そもそも人生を預けられるほどの魅力がまだないですし、賃金も大企業でバリバリやっている人に見合う額をいきなり出せるかというと、1分野なら出せてもやりたいことが多く抱えきれない、というのが正直なところでした。それで自然と副業や業務委託的な関わり方になっていきました。

畦田:具体的にどんなことをやられていったんですか?

外部リソース活用の事例

武井:まず最初にやりたいと思ったのが営業・マーケティングでした。どんな人をどうやって惹きつけたらいいのかから始まって、最初は実は白潟総研さんの畦田さんに手伝っていただいて、当社の魅力は何かをいろいろ聞いてもらい言語化してもらいました。少し恥ずかしいくらい「良い会社やん」というものが出来上がって、それをもとにWantedlyという媒体を使ったところ、今もお付き合いしている優秀な人との出会いにつながりました。「あの記事が良かったです」と言われることが多く、今もカバーしてくれている池田さんという方も、実はそこがきっかけでした。どんな人に来てほしいか、どんなことをやりたいかというビジョン・ミッションと、来てもらえると嬉しい人物像がしっかりあったのが、出会いの成功につながったのだと思います。

畦田:どういうキャリアの人と一緒に仕事をされたんですか?

武井:科学的な営業をしたいという時には、マーケティングや経営企画をやれる人を探して、出会ったのが元キーエンスの営業をされていた方でした。副業で何社かやっているということでマッチングして、もう5年くらいお付き合いしています。ターゲットにしているお客様が製造業でキーエンスさんと同じだったので、課題を科学的に分解して見える化してどうアプローチしていくか、研修を組んでもらいました。弊社にはなかったKPIをしっかり立てて、成果指標だけでなく行動・成果目標まで落とし込むということを、土日に来てもらって何時間も打ち合わせをしながら2年くらいかけて構築していきました。他の事例としては、一昨年・去年に新事業として、ボルトにセンサーを付けて緩んでいるかどうか遠隔でわかるようにするIoT機器に取り組みました。通信やIoTに疎かったので「紹介をお願いしたい」と、これも白潟総研の畦田さんにIoT・AIに強いベンチャー企業を紹介いただいて協業するようになりました。投資判断についても、M&Aを本業でやっている、事業内でM&A室長をやっている方に副業で助けてもらい、法的な面も含めてどこまでの投資にするかを詰めて、紹介いただいたベンチャー企業に投資して一緒に商品を開発しています。自社開発だけだとコストも時間もかかりノウハウもないので、外部リソースを上手く頼るしかないという判断でした。

畦田:実際に外部の方を活用していく中で、どういうかたちで動いてもらうかはすごく大事だと思っていて、他社さんだと時々「コンサルは何かしらやってくれるけど手は動かさない」ということもありますよね。そこを上手く活用するために工夫されていたことは?

外部リソース活用の工夫

武井:最初にしっかりと要件定義をやりました。やりたいことはある、理想もある程度形になっている。あとは実際に手を動かすのが足りていないということが確実だったので、経験がある・指導ができるだけの人だと結局「人がいないので」となってしまいます。その分野の経験値・知識があるのは必須ですが、手を動かすことをいとわないこと、組織を動かせなかった失敗や、現場に降りることの大切さを理解しているという経験・思考を持っている方も必須条件にしました。面接には時間をかけていて、最初はオンラインで1〜2時間話をして弊社のビジョンも伝え、良かったら1回会いましょうということで会社に来てもらい、社内ツアーもして人も紹介して、食事にも行きます。ランチの人もいれば、4時間飲みに行く人もいます。その人が歩みたい人生と、弊社としてのお願いだけでなく、弊社だったら何が提供できるか、お金だけではないインセンティブが何なのかを把握するように擦り合わせをしています。使命に共感してくれて、「助けないと失敗するぞ」「俺がいないと」と思ってもらえるくらいの状態を作れているかが鍵で、逆に「助ける必要がないな」と思われたら面白くないし頼りない、というのが実は魅力になっているようです。能力が足りないというのを自分で認めているからこそ素直に頼れる、そこのプライドの持ち方は気をつけています。

畦田:外部の方を活用していく中で、社内の見え方も社員さんは気になると思うのですが、現場との調整は何か工夫されましたか?

社員と外部の方の関わり方

武井:上手くいっているパターンは、懇親の場などいろいろなところに参加してもらって、社内のメンバーに溶け込むような場所をどんどん作って紹介し、他のメンバーも僕を通さずに頼れる状況を作ることです。現場リスペクトをちゃんと持ってくれている方じゃないと上手くいかず、「社長とだけ話したいから」というタイプは絶対にありません。失敗した例としては、巻き込みが足りなかったことがあります。新しい取り組みは物理的に離れたところで経営リソースを使いながらやる、という教えに従って、既存メンバーの反発を予想し、物理的に離れた営業所の1人の営業でトライアルとして科学的営業を始めました。KGI・KPIを設定して半年で成果が出始め、発表会を既存メンバーにもちゃんと伝えようと開いたのですが、雰囲気がすごく悪くなり「こんなのは数字のインチキだ」「元々良かった客だろ」という反応になりました。半年間、就業後に副業の方との打ち合わせも毎日やって本業もやってすごく大変なことをやってくれた社員に、労いのないまま激しく言われてそのまま退場していく形になり、もっと感情を大切に扱えば良かったと反省しています。結果、そのトライアルをしてくれた彼は今は優秀なマネージャーになってくれていて、営業所の売上も数字として見えてきたので、今は皆さんにも「やはりこういうのは大事だよね」と伝わってきていて、彼自身が"宣教師"として社内に伝えてくれている状態です。その時は外部の人と上司たちの接点を持たせていなかったのですが、今はいろいろな場に呼んで懇親の場を作るようにしています。

畦田:いろいろお伺いしてきましたが、今後は武井社長としてこの会社をどうしていきたいですか?

今後のビジョン

武井:弊社の特徴は最初にお伝えした通りネジの販売商社なのですが、弊社の使命に合致することとして、世界の機械・プラントの稼働に貢献できる範囲が実はすごくあります。ネジはどこでも軽視されていて、超大手企業でも30年前のままの設計を流用している、本当は素材の変化に合わせて実験をし直さなければいけないということがたくさんあります。そこに時間もお金もかけられず、知識の継承もされにくくなっている中、相談相手もいないという会社が多いんです。ここを変えていくと、僕たちが提案したネジが使われた機械が世界中に輸出された時に、稼働率が良く緩まないということが起きて、世界中のエンドユーザーに貢献できます。ネジの設計だけでなく、どういう工具でどれくらい強く締めたらいいかまで考えて、現場に行って設計に問題をお伝えして工具から提案したり、締結力を試験機で検証したり、作業の省力化・省人化まで含めて、トータルでずっと寄り添って最終的に良い製品が締結できるようにしていきたいと思っています。実現できると思っていますし、やりたいですね。

畦田:すごく楽しみです。今日は池田金属工業の武井社長にご登壇いただきました。ありがとうございました。

武井:ありがとうございました。

エンディング

畦田:白潟総研チャンネルでは、中小企業の社長のための経営ノウハウであったり、生の使える経営事例をどんどん発信していっております。ぜひこの動画のいいね、あとは白潟総研チャンネルの登録をよろしくお願いいたします。

後編はこちら

【娘婿が継いだ創業76年企業】先代との軋轢を越えた事業承継【池田金属工業/武井宏樹社長/前編】

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