【社員が辞めない組織の作り方】離職率0.57%のIT企業の経営理念と人材定着【エス・エー・エス/青山秀一代表/前編】

動画でわかること

  • 「利益が目的ではない」経営哲学が生まれた背景
  • 転職的離職率0.57%を実現した理念共感採用の仕組み
  • 成長の半分を社員に還元するルールの作り方
  • 経営理念を「入社理由ヒアリング」から作ったプロセス
  • ワークライフスパイラルアップとは何か

1分で読める要約

2026年に創業30年を迎えたエス・エー・エス株式会社。代表の青山秀一さんは「全ては笑顔のために」というパーパスを掲げ、利益を目的ではなく手段と位置付けています。184名のグループで転職目的の離職はわずか1名、離職率0.57%(IT業界平均12.4%)という高い定着率を実現しています。

この理念は、青山さんが社員に「なぜ入社してくれたのか」を聞いて回る中から生まれました。ワークライフバランスという言葉が日本に広まる以前から同じ発想で経営してきたといい、日本で一番大切にしたい会社大賞やウェルビーイング経営認証第一号など数々の受賞につながっています。

動画では、SI・クラウド・文教・教育研修の4事業と、そこに込められた"直接取引にこだわる"仕掛け、社員全員で作る104ページの事業計画「SS2030」、そして成長の半分を社員に還元し続ける独自の経営哲学「ワークライフスパイラルアップ」についても語られています。

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00:00 ダイジェスト
00:29 本編開始
01:56 エス・エー・エス株式会社の概要
03:39 受賞の経歴とその背景
07:20 転職的離職率と新卒採用
09:19 4つの事業とその中の仕掛け
21:44 次回予告

インタビュー全文を読む

文字起こし(音声認識)を読みやすく整形したものです。実際の発言と細部が異なる場合があります。

本編開始

石川:皆さん、こんにちは。白潟総研の代表取締役を務めます石川哲也と申します。今日はよろしくお願いします。白潟総合研究所は、中小ベンチャー企業の社長を元気にしたいというところで、中小ベンチャー企業向けの総合経営コンサルティングを実施している会社です。この白潟総研チャンネルでは、我々がお会いした社長様の中で「この経営はめちゃくちゃ面白い、絶対他の社長さんも聞いた方がいい」という方にインタビューさせていただき、皆様の経営のヒントになればなというチャンネルです。記念すべき第1回はエス・エー・エス株式会社の青山社長にご参加いただきました。

青山:よろしくお願いします。

石川:エス・エー・エスさんは「日本で一番大切にしたい会社大賞」や、最近ではウェルビーイング経営認証も第1号を取得されていて、国からも業界からも「いい会社だ」と認められている会社です。最初に、どんな会社かお伺いしてもいいですか?

エス・エー・エス株式会社の概要

青山:我々は昨年で丸30年経ちました。私が28歳、翌月29歳という時に立ち上げた会社です。主にはITがメインの生業で、「全ては笑顔のために」というパーパスを掲げてやっています。笑顔につながることをどんどんやろうと。まず自分たちが最高の笑顔になって、世の中の皆さんを笑顔にしていく。そのための手段としてITを使おうというのをずっとやっている会社です。ITはあくまで手段で、我々は利益を得たいのではなく、利益も手段です。今184名ですかね、グループ全体で。今期は売上30億を目指すような規模でやっている会社になります。

石川:設立して30年で184名。

青山:ぼちぼちとですけど、あまりぎゅっとアクセルを踏んでいないので、10%ずつぐらいは伸びて、その半分はみんなに還元していこうと。5%ずつぐらいはずっと還元していこうというのを目標にやっていますかね。

石川:先ほどご紹介した日本で一番大切にしたい会社大賞もそうですし、ウェルビーイング賞なんかも含めて、いろんな表彰を受けられていますよね。その辺の背景もお伺いしてもいいですか?

受賞の経歴とその背景

青山:我々が初めて経営理念を立てたのがだいぶ前なんですけど、その頃のメンバーに「なんでうちに入ったの」と聞いたら、今でいうリファラル採用でみんな集まってきていたので、改めて聞いたら、今の理念につながることがあって「楽しいです」と言ってくれていたんです。じゃあそれって笑顔だよねということで、「全てを笑顔のために」というのが一番頭にあって、ワークとライフをしっかりやっていこうという経営理念になったんですね。それが1995年に立ち上げて、2000年の時に経営理念をしっかり立てて本格的にやろうという形になりました。その当時はまだ日本にはワークライフバランスという言葉がなかったんです。後から2003〜4年ぐらいからワークライフバランスという言葉が出てきて、東京都の方もワークライフバランスの認定を募っているということを聞いたので、これは我々の経営とドンピシャなので取らなきゃまずいよねという形で、過去に2回いただきました。ある種、東京都よりも先に始めていた形になります。そこが気に入ってくれた、共感してくれたメンバーがうちに集まっています。LGBTQのプライド指標という認定もあるんですけど、最上位の「ゴールド」を何年も連続でいただいていて、あれもメンバーからの提案でした。

石川:ちなみに5年目で理念を作られたと。社員が20名集まっていないくらいの頃ですか?

青山:そうですね、20名いなかったですかね。当時、私もいろんな大型プロジェクトに入っていたので、そのプロジェクト先でも今のうちの福利厚生みたいなことを個人的にやっていたんですね。誰かの誕生日だったら焼肉でお祝いしたり、ボーリングに行こうとか旅行に行こうとか、結構私がお金を出してやっていました。それでもメンバーは「楽しかったです」と言ってくれて、それを制度として全員が使えるような環境に整えていったのが今の福利厚生になります。

転職的離職率と新卒採用

石川:今180名ですけれども、定着率がとんでもないんですよね。

青山:昨年(2月決算)1年間で、転職目的・同業他社への転職を目的とした「転職的離職率」でいうと1名だけでした。率にすると0.57%です。IT業界の平均的な離職率は12.4%と言われている業界なんですが、それだけの率を保てているのは、そこに共感してくれているメンバーが集まっているからだと思います。

石川:新卒採用もされていますよね。

青山:そうですね。我々はまだまだ知名度が低いので、知ってもらえれば定着率は高いんですが、知ってもらうこと自体がなかなか少ないので、そこは会社のブランディングという課題だと思っています。人数はそこまで多くないですが、年間で7〜8名ぐらい、今年は5名になっています。他のIT企業だと、新卒や未経験で入って2〜3年である程度実力がついてきたところで離職されてしまい、人的資本が蓄積しないという話をよく聞きますが、うちは理念に共感した人がどんどん蓄積していっている状態です。

石川:IT企業は人が事業の根幹だと思うのですが、事業自体は大きく何をされているんですか?

4つの事業とその中の仕掛け

青山:大きくは4つの事業があります。1つ目が創業当時からやっているSI事業。お客様のシステムを専用で我々が作り、その後長く保守・改修という形で寄り添いながらお客様と共に成長していくという形で、大手の証券会社さんや大手の通販会社さんなど、いろんな会社と直接の取引があるのが特徴です。2つ目がクラウド事業で、今はHR分野・バックオフィス系のサービスを月額制で提供しています。高級ホテルと呼ばれる企業様のシェアが高く、病院様や銀行様など幅広くご利用いただいています。クラウド事業は今830社ぐらい、18万ライセンスぐらい毎月ご利用いただいています。売上構成でいうとSI事業が70%、クラウドが25%ぐらいで、残りが文教事業(都立高校向けのITソリューション)と教育研修事業です。合わせて今期30億を目指すような構成になっています。あと我々の特徴として、エンドユーザーとの直接取引(プライマリー)の比率が74%ぐらいあります。IT業界で200名規模の会社だと、通常は大手ベンダーの下請けが多く、直接取引20%程度が一般的なので、これはかなり高い水準です。

石川:事業計画も立てられているんですよね。

青山:「SS2030」という事業計画を、みんなで作っています。今104ページあって、私は1ページも書いていません、みんなが作ってくれたものを集結させたものです。その計画では、まず平均年収をどんどん上げていくことが1番に来ていて、その後にいろんな事業を専門的に広げていく。事業を伸ばしていくのと、その半分を毎月全員に還元していく、というのが半分半分という発想でやっています。事業計画の前に、まず全員でこの会社を推進していく「推進チーム」の計画がかなりの割合を占めています。経営のことに携わって、それを経験値としてどこでも活躍できる人材になってほしいという思いも込めて、ダブルで組織を運営しています。資格取得についても、会社が必須だと言っているものは3回まで受験費用を会社が負担する制度があり、社労士3名、中小企業診断士4名、PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)を156名が取得しています。これが「ワークライフスパイラルアップ」につながっていて、ワークとライフを半分半分にするのではなく、どちらかが100なら両方100、120なら両方120というふうに、どんどんスパイラルアップさせていくのが我々のやりたいことです。

次回予告

青山:いい人材、そういう人材を組織に多くしていくには、まずやる気と経験だと思うんですね。(後編に続く)

後編はこちら

【"遊び"が人を育てる】部活動12個・社員会で組織を強くするIT企業の人材育成術

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