【M&Aは怖いですよ】それでも5社買収に踏み切れた理由と不安の消し方【SDアドバイザーズ/高木栄児代表/前編】
動画でわかること
- 自然成長では遅い──M&Aを成長の手段に選んだ理由
- 「毎回 不安ですよ」その不安を消すための徹底調査
- 売り手を見極める2つのポイント
- 情報を出していない会社は「経営者の顔」をじっくり見る
- 40人の会社を40社へ──4040 VISIONに込めた構想
1分で読める要約
2008年、FX・証券システム開発に特化した会社として創業したSDアドバイザーズ。代表の高木栄児さんは、自然成長だけでは実現したいスピードに届かないと考え、2016年以降5社のM&Aを重ね、グループ売上約18億円・従業員約100名規模まで会社を成長させてきました。
「毎回、不安ですよ」──5社を買収してきた今もそう語る高木代表。その不安を払拭するために欠かせないのが、オリジナルの「リサーチシート」による徹底調査です。買収先を見極める基準は大きく2つ、企業文化との相性と、お互いの事業で生まれるシナジーだといいます。
動画では、情報が少ない会社ほど「経営者の顔」をじっくり見て社風を判断するという独自の視点や、40人の経営者が集まり40社を目指す構想「4040 VISION」に込めた想いも語られています。
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00:00 ダイジェスト
00:29 本編開始
01:35 高木社長の事業概要
03:24 グループ会社の概要
05:08 M&Aを行った経緯
06:48 M&Aの怖さを払拭する準備
09:25 売り手を見るポイント
11:43 4040 VISIONとは
14:14 中小企業の持つメリット
16:19 4040 VISION達成のイメージ
17:24 「仲間」に込めた想い
18:41 次回予告
18:59 エンドカード
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文字起こし(音声認識)を読みやすく整形したものです。実際の発言と細部が異なる場合があります。
本編開始
武井:皆さん、こんにちは。白潟総研の武井です。白潟総研チャンネルは、中小ベンチャーの社長にとって使えるノウハウや、面白い経営、皆様の参考になるような経営をされている経営者の方々にインタビューし、発信しています。SDアドバイザーズさん、高木社長のところはこれまでにM&Aを5社されてきていて、純資産の増加額で見ると全体で200%の成長をされているそうです。大手さんがM&Aでガンガン伸びている例は多いですが、ここまで取り組まれるのは非常に珍しいと思います。今日は高木社長が経験されてきた経営ノウハウをインタビューしながら皆さんにお届けしたいと思います。
高木:緊張しますね。よろしくお願いします。
武井:では最初に、簡単な会社紹介・自己紹介からお願いできますか?
高木社長の事業概要
高木:改めまして、SDアドバイザーズ代表取締役の高木と申します。当社は2008年に設立し、現在まで一貫して金融系のシステム開発を手がけてきました。金融といっても銀行や保険、クレジットなどいろいろありますが、その中でも我々はFX・証券に特化した事業を続けてきたことが強みになっていると思います。
武井:FX・証券が強みという会社にはあまり出会ったことがなく、珍しいですよね。
高木:お客様から明確に選ばれる理由を持たなければいけないという想いがあって、自分たちの得意領域は何だろうと考えた時に、過去の実績を見ていく中でFX・証券が強みだと見えてきたので、そこに絞っていきました。
武井:SDアドバイザーズはグループの中核企業で、グループ全体の売上は約18億円、従業員数は約100名規模まで成長されているとのことですが、グループ会社もご紹介いただけますか?
グループ会社の概要
高木:これまでM&Aしてきた5社をご紹介します。まず2016年12月にオーシャン・コンサルティングにジョインしていただきました。それから2020年7月にコウイクス(プログラミングスクールとシステム開発が主な事業)、2021年7月にゲイターズ(投資助言代理業)、2025年5月にフジサービス(印刷とシステム開発)、そして先月にはオールインワン(システム開発、kintone開発が主軸)にジョインしていただきました。
武井:SDアドバイザーズさんもIT、フジサービスさんは印刷、ゲイターズさんは投資助言代理業と、IT以外の業種にも明確な狙いがあって取り組まれているんですか?
高木:我々のプロダクトを持ちたい、優良なクライアントを得たいという狙いがあって、IT業以外のところも手がけてきました。
武井:最初のM&Aが2016年と、結構早い時期からされていますが、最初にM&Aをしていこうと思った理由を伺えますか?
M&Aを行った経緯
高木:元々M&Aへの興味・関心があったのと、SDアドバイザーズ単体で成長していくより、いろいろな会社・仲間と一緒に成長していきたいという想いがあって、M&Aを積極的に活用するようになりました。
武井:いろいろな社長とお話しすると、M&Aは怖くて一歩を踏み出せない方も多いと思うのですが、踏み出せた理由は何かあったんですか?
高木:今後も成長していきたい、その想いを実現していきたいという気持ちですね。会社をもっと成長させたいと思った時、自然成長だけでは時間がかかって、思い描くスピードには届かない。その中でM&Aという選択を取ろうとなった時は、少しどころかすごく怖かったですよ。最初の会社の時は不安しかなかったです。
武井:もう5社もされているので慣れているのかと思っていました。
高木:慣れていないですよ。毎回不安です。だからこそ不安を取り除く努力をする。相手のことを徹底的に調査して、知ろうとする。それで「これだったら行ける」となるかはわからないけれど、準備をして、あとは行くという感じですね。ここまでやり尽くしたんだから失敗しても仕方がないと思えるところまで準備します。
武井:具体的にどんな準備をされているんですか?
M&Aの怖さを払拭する準備
高木:怖さを払拭するために、いつも「リサーチシート」というファイルにレポートを自分なりにまとめています。ビジネス面や財務面など、いろいろな観点で調査しています。
武井:これは社外秘のノウハウですよね。オリジナルのフォーマットがあるんですか?
高木:大枠のフォーマットがあって、それを見ながら課題があれば対策を書いたりします。これまで作ってきたので、ある意味テンプレのように漏れなく相手のことを調べられます。それに、1社買うごとに新たな気付きが毎回あるので、そういうところをフォーマットに反映させて、調査する能力は上がっている気がしますね。最初はそのフォーマットもなかったので、徹底的に自分なりに納得できるところまで調査していました。
武井:それをして怖さを払拭されてきたんですね。仮に失敗しても大丈夫なように、自社側の準備もされていたんですか?
高木:そうですね。本業、自社の事業でしっかり資金を蓄えたり、銀行の評価を勝ち取って準備をしておく。とはいえ最初は銀行から自分の連帯保証をつけて借りてやっていましたから、それだけ想いが強かったんだと思います。それに、引き受ける従業員の方々もいらっしゃるので、覚悟は結構必要です。わからない方々が10〜20人来るわけですから。それでも受け止めて、その方々の生活や仕事を守っていかないといけないとなると責任は重大です。それでもM&Aをしようと思うくらい、想いが強いということですね。
武井:これまで5社のM&Aをされてきて、見送った会社さんも含めるとかなりの数を見てきていますよね。
売り手を見るポイント
高木:見送りを含めたら1,000件近く見ていると思います。
武井:その中で見極めているポイントを伺いたいのですが。
高木:そもそもターゲットとしている業種・業界かどうかは当然あります。その上で見ているポイントは大きく2つです。1つは、相手の会社の雰囲気や企業文化といった相性。そこがそもそも合わなかったら、たぶん上手くいかないので、まず見ています。
武井:社風や雰囲気は、テキストで「こうです」と書いてあっても合うか合わないか判別がつきにくいと思うのですが、どこで見極めているんですか?
高木:企業概要書やホームページに「こんなイベントをやっています」「こんな社員がいます」と掲載しているところはわかりやすいですが、そういう情報を出していない会社もたくさんあります。そういう時は、経営者の顔をよく見ます。代表紹介のようなところの顔を、すごくじっくり見ます。会社には似た社員が集まると、私は経験上感じているんですよね。真面目そうな顔をされている経営者さんには真面目そうな社員が集まりますし、イケイケドンドンな方のところにはそういう方が集まっていたりする。なので経営者さんの顔をじっくり拝見します。顔を見て「これは見送りだな」となったケースもあります。良い・悪いではなく、その方には他に合う会社さんが絶対あるということです。
武井:面白い見極めポイントですね。2つ目のポイントを伺ってもいいですか?
高木:お互いの事業で、共に今後発展していきたいので、お互いを刺激し合って、協力し合って伸びていけるかどうか。単純にシナジー、相乗効果を見極めていますね。
武井:社長は「4040 VISION」を掲げられていると思うのですが、あの部分も非常にユニークだと思うので教えていただけますか?
4040 VISIONとは
高木:4040 VISIONが生まれたのは、ある課題感があったからです。会社の99%は中小企業で、300万社以上あると言われていますが、その中には優良で黒字の企業もたくさんあります。それなのに、経営者の高齢化や後継者不足で優良な黒字企業が廃業してしまう例が多い。それは非常に勿体ないことで、社会課題だと思っています。中小企業には他にも、売上が伸びない、社員の賃金を上げられない、生産性が低いといった課題もよくあります。そういう課題を事業承継とITで解決するためのビジョンが4040 VISIONです。40人の社員がいる、様々な強みを持った会社が集まって、共に切磋琢磨しながら成長していこうというものです。
武井:40人という数にはどんな意味があるんですか?
高木:1人の人間がコミュニケーションできる範囲として、我々世代の小学校の1クラスがだいたい40人ぐらいでした。先生が最大限コミュニケーションをマネジメントできる人数が40人だと思うんです。私がマネジメントできる範囲も40人の経営者だから、40社という数になっています。
武井:日本の人口はこれから減っていきますが、国の経済は伸びると思いますか?
高木:伸びないですよね。その中で売上を確保してさらなる成長をしていくには、中小企業の持つメリットを最大限に活かして、同じような強みを持った様々な仲間たちが集まり、切磋琢磨していくことが、今の日本に合っていると思ったんです。
武井:ちなみに中小企業が持つメリットは何なんですか?
中小企業の持つメリット
高木:大きく2つあると思っています。1つは、大きなマーケットが中々成長しない中で売上を確保してさらに伸ばそうとした時、中小企業であればそんなに大きなマーケットはいらないということ。5億〜10億円のマーケットでも、1社だけで見れば十分やっていけます。2つ目は、意思決定・実行が早いこと。中々成長が見込めない中では、より早く動けたほうが有利だと思っています。だから意図的にM&Aをして大きくするというよりも、中小企業の形を保ったまま戦う。それが今の日本の社会には合っていると思っていますね。
武井:今の時代は変化が激しく、AIなどいろいろな技術が出てくる中で、すぐに動いて実行できることはすごく貴重ですよね。ちなみに4040 VISIONはいつ頃から考え始めたんですか?
高木:正直いつからだろうと思って過去の資料を遡ったことがあるんですが、2015年頃から中期経営計画などに掲げていたようです。1社目のオーシャンさんが2016年なので、ちょうどその前ぐらいですね。社員向けの説明会の資料にそういうことを書いていました。何となく方向性は当時から一致していたんですね。
4040 VISION達成のイメージ
武井:その4040 VISIONも今は5社まできたということですが、達成した時、社長はどんな景色をイメージされていますか?
高木:その時は、中小企業の新しいロールモデルになっていたいです。現時点では中々ないですよね。ファンドがそういうことをやっている話や、製造業を買ってロールアップしていくケースはありますが、事業会社でのケースは少ない。投資ファンドさんがいろいろな企業に投資するケースはありますが、我々はそうではなく、もちろん株を買うので投資するという側面は当然ありますが、それ以上にその事業を育てて、互いの事業で相乗効果を生んでいく。全然違うと思っています。新しい中小企業のモデル、かたちになっていきたいですね。
武井:高木社長はよく「M&Aで仲間が増える」という表現をされていると思うのですが、そこに込められた想いを伺いたいです。
「仲間」に込めた想い
高木:SDアドバイザーズがいろいろな会社の株を持っているかたちになるので、ジョインしてくれた会社の人たちは上下関係を感じてしまいがちです。でも本当はそうじゃなくて、「みんな一緒」「みんな横並び」だと思っています。さらにグループとして成長していかなければいけないので、お互い助け合って協力し合う仲。それは仲間だと思うんですよね。そういう想いがあるので、仲間という表現をよく使います。
武井:株の関係だけ見ると上下関係になってしまいがちですが、本当は横並びの関係ということですね。前半戦ではSDアドバイザーズさんがM&Aを何故行ってきたかというお話を中心に伺いましたが、後半戦では、M&A後の取り組みについて伺っていきたいと思います。
次回予告
武井:社長のところはPMIに非常に力を入れていらっしゃると思うのですが、そこにどうして力を入れようと思ったのか。
高木:やはり一緒にみんなと成長していきたいという想いがあるんですよね。成長のための準備期間、最初の時は軽く見ていた部分があって、相当大変な思いをしました。(続きは後編で)
後編はこちら

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