目隠しで的を狙う!経営者・幹部による“非認知能力”のゲーム型実験のレポート
実はこの非認知能力こそ、経営者・幹部の育成にとって欠かせない要素だと弊社では考えいます。白潟総研は、青山学院大学・林拓也教授と、経営者・幹部の「非認知能力」を高めるための共同研究を進めています。
その非認知能力の研究の一環として2026年7月13日、青山学院大学の一室に3人の経営者・幹部を招き、ある実験的なゲームを体験してもらいました。「360°ぼっちゃ」という、遊びながら非認知能力を体感し、鍛えることをねらった、少し変わったゲームです。
この記事では非認知能力とは何なのか、なぜ重要なのか、ゲームのレポートを通じて解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。

目次
“非認知能力”を体感するゲーム
この“非認知能力を鍛えるゲーム”の名前は「360°ぼっちゃ」です。青山学院大学・林拓也教授の研究室(林ゼミ)が開発し、白潟総研と一緒に実験しているゲームです。
ねらいは、経営者・幹部の成長を支える「非認知能力」を、遊びながら体感してもらうことです(非認知能力が何かは、記事の後半で改めてご説明します)。
ざっくり言えば、指示役の「監督」が、制約を抱えたメンバーに指示を出して、中央の的に得点を重ねていく、それだけのゲームです。ただし、投げるのが上手いチームが勝つとは限りません。思い通りにならない状況をどう読み、限られた情報でどう決め、メンバーにどう任せるか。その“監督ぶり”に、その人らしさがくっきり出てきます。
“やってみないと分からない”ルールの複雑さがゲームの肝
「ボッチャ」は、パラリンピックの正式競技にもなっています。的に自分のボールをどれだけ近づけられるかを競う、年齢も運動神経も問わないシンプルな競技です。今回の「360°ぼっちゃ」は、それを林ゼミが“実験用”に大胆に改造したものです。
・中央の的(内側ほど高得点)に向かって、複数チームが同時に投げ込む
・投げるメンバーには制約がある(目隠し、1kgの錘、肘を体につけたまま、など)
・監督(=チームの指示役)は、戦略と指示の専任。試合中に喋れるのは監督だけで、メンバーは質問に答えることしかできない
・作戦タイムは3分。制限時間は知らされない。試合が進むと、マイナスエリアなどのルールも追加されていく
しかも、最初に説明されるルールは、わざと複雑につくってあります。全員で座って説明を聞いても、どこからともなく「これ、やってみないと分からないね」という声が漏れました。思い通りにいかず、情報も足りず、途中でルールまで変わる。その分かりにくさこそが、経営という現実の写し絵になっています。
「現実って、そもそも複雑ですよね」 ゲームを監修した林教授は、そう笑います。


監督の個性の違いがマネジメントに表れた
見どころは、勝ち負けよりも、同じゲームなのに3人の監督ぶりがまるで違ったところでした。林教授も「監督のパーソナリティが、マネジメントスタイルやチームの雰囲気に明確に表れていた」と評します。
株式会社エス・ジーエデュケーション 扇田社長:のびのび型
扇田社長「戦略はなし。自由にいこう」。 前向きな声かけでチームを乗せていくマネジメントスタイルでした。メンバーからは「やりやすかった」「前向きな声かけがよかった」という声が多く、作戦会議も肩の力を抜いた雰囲気で進んでいました。「勝ち負けよりも、“また やりたい”と思ってもらうことを大事にした」とご本人。

インクステクニカルサービス株式会社 小作社長:スポーツ型
小作社長「とにかく、真ん中を狙い続けよう」。 方針が明確で、投球ごとのフィードバックも的確。最初の会話で相手のキャラクターをつかみ、練習好きなメンバーの持ち味をうまく引き出していました。

株式会社ネットサービス・ソリューションズ 小澤様:策略家型
小澤さん「質問は3回まで? なら、その使い方から考えよう」。 限られた条件を逆手に取り、ルールの“裏のかき方”まで設計していました。試合を重ねるほど指示のタイミングが的確になり、優しい指示でメンバーを安心させながらチームをまとめていきます。

この日いちばん点を伸ばしたのは、策略家・小澤さんのチームでした。
ゲームが映す“非認知能力”とは
非認知能力とは、学力やIQのように点数で測れる認知能力とは別の、行動や判断の“土台”になる力のこと。私たちは経営者・幹部の成長を支えるコアとして、この非認知能力に注目しています。
非認知能力は、普段と違う環境やストレスのかかる場面でこそ発揮されます。360°ぼっちゃでは、非認知能力が発揮される場面を意図的に再現すべく、目隠しや制約、変わり続けるルールといった慣れない状況を作り出しました。
今回のゲームで表に出る非認知能力の例
・自分では投げられない。投げるのは制約を抱えたメンバー。思い通りにならない相手を信じて任せ、支えてくれる存在に感謝できるか(感謝)
・情報も時間も足りない。焦りや不安に飲まれず、自分の状態を保って決め続けられるか(自己管理)
・正解が見えないなかで判断を引き受ける。うまくいかない一投があっても、ありのままを受け入れ次へ進めるか(自己肯定)
非認知能力は、座学で学べる認知能力と違い、体を動かす経験を通じてこそ磨かれるといいます。体を使うこのゲームが、非認知能力に触れ、意識する入り口になることを狙いました。
白潟総研が非認知能力に着目する理由
中小企業にとって、幹部の数と質は、そのまま会社の“経営エンジンの出力”を左右します。しかし、多くの社長が実感されているように、幹部や経営者の育成は簡単ではありません。
「トップセールスをマネージャーにしたら、急にうまくいかなくなった」
「幹部が伸び悩んでいるのに、“責任感が弱い”など曖昧な言葉でしか説明できず、育成が進まない」
「“そこそこ優秀”なところで止まってしまい、経営者の視座がなかなか育たない」
私たちは、これを本人の性格や根性、生まれ持った資質の問題にせず、非認知能力という“鍛えることのできる能力”として捉え直せないかと考えています。この1年、青山学院大学・林教授との産学共同研究、代表・石川自身を実験台にした取り組み、経営者1,021名・幹部518名への独自調査と、幹部100名への個別インタビューを重ねてきました。360°ぼっちゃも、その研究から生まれた実験のひとつです。
「部下や社員に見せると、言葉で説明するよりイメージが伝わりやすい」と林教授も言います。非認知能力は、語るだけでなく、体感することが重要です。その入り口として、ゲームという方法があると確認できた一日でした。
幹部の非認知能力育成に再現性をもたせる
これまでセンス、人間力と呼ばれてきた力は、正しく扱えば意図的に伸ばせると私たちは考えています。
そのポイントや実例の全貌を、9月17日(木)の研究報告カンファレンスで先行公開します。ご興味ある方はぜひご参加ください。
▼中小ベンチャー企業の「幹部育成の再現性」研究報告 カンファレンス
https://www.ssoken.co.jp/archives/seminar/1904

■あわせて読みたい
・幹部育成の再現性プロジェクト
https://www.ssoken.co.jp/archives/method/research-theme/989
・白潟総研は、青山学院大学の教授と「非認知能力」に関する共同研究を始めました
https://www.ssoken.co.jp/archives/method/research-theme/996
・経営者・経営幹部の「成長」とは ー石川の非認知能力の実験ー
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