新卒の離職をつくる、盲点|見落としてはいけない”〇〇”社員の課題
こんにちは、白潟総研の真崎です。
新卒採用をしている会社の社長・人事とお話しすると、以下のような悩みをよく聞きます。
「採用時点では意欲もポテンシャルもあった新卒が、早期離職してしまう」
「研修など育成にも時間とお金をかけているのに、新卒の成長が遅い」
「上司の育成も丁寧なはずなのに、現場で活躍しない」
採用にも教育制度にも、上司にも力を入れているはずなのに、なぜか新卒が育たない。それどころか、優秀な社員ほど早期離職してしまう・・・
原因が特定できず、対策も打てないこの状況は、会社にとって非常にリスクの高い状態です。
今回のコラムでは、”なぜ新卒の育成がうまくいかないのか”
多くの会社が見落としがちな一つの原因について取り上げました。
※はじめましての方は、よろしければ自己紹介記事もご覧ください。

何を見落としているのか?
様々な会社様のご状況を伺うと見えてくるのは、決して採用や育成に力を入れていないわけではないということです。
むしろ気を使って、かなり手厚い教育制度をひいている会社が多いです。
・新卒研修を毎年アップデートしている
・オンボーディングの体制も整っている
・現場の上司・マネージャーには丁寧な指導をお願いしている
・1on1も頻繁に行っている
・社内での教育コンテンツも充実している
・評価制度も見直した
そんな会社でも新卒が育たない、辞めてしまう。
その原因は意外なほど身近なところにあります。
それは、”先輩社員”の存在です。
なぜ先輩社員なのか?
なぜ先輩社員が新卒の定着・育成にとって重要なのか、疑問に思うかたもいらっしゃるかもしれません。
「直属の上司の方が大事なんじゃないの?」
そのように考える方が自然にも思えます。
もちろん上司の存在も大きいです。
ですがよくよく考えてみると、新卒にとって先輩の影響力がとてつもなく大きいことが理解できます。
● 理由①:会話時間の総量が圧倒的に多い
新卒が日々の仕事の中で、最も多く言葉を交わしている相手は誰でしょうか。
多くの職場では、上司ではなく先輩社員です。
また上司との面談や1on1は、どうしても定期的・公式な場になりがちです。
一方で先輩社員とは、業務の合間、ちょっとした確認、仕事以外の雑談も含めて、日常的に会話が発生します。
「これ、初めての仕事なんですけどどうすればいいんですかね?」
「さっきの会議、上司の〇〇さんなんか怒ってませんでした?」
「え、××先輩って△△が好きなんですか!今度一緒にいきましょうよ!」
こうした距離の近いコミュニケーションの積み重ねが、新卒の考え方に大きく影響します。
人は、日常的に多くの時間を共有し、会話を重ねる相手から強い影響を受けます。
社会心理学の研究では、「人は、頻繁にやり取りする相手と、次第に考え方や判断が似ていく」ことが示されています。
“The more frequently persons interact with one another, the more similar their opinions tend to become.”
「人々が互いに頻繁に相互作用するほど、その意見は互いに似通っていく傾向がある。」
Festinger, L., Schachter, S., & Back, K. (1950).
Social pressures in informal groups: A study of human factors in housing.
Harper & Brothers.
こうした研究からも、日常的な会話量の多い先輩社員の存在が、新卒の考え方や判断に大きな影響を与えていることが分かります。
● 理由➁:心の距離が近い
いくら信頼できる上司であっても、評価や印象をまったく気にせずに話すのは困難です。
「こんなことを聞いたら評価が下がるのでは」
「弱音だと思われないだろうか」
無意識にそんなことを考えている新卒も多いはずです。
一方で先輩社員は、立場が少し上でありながら、評価者ではない「斜め上」の存在です。
かつ仕事だけでなくプライベートを含めた雑談もたくさん行っているため、心をより開ける存在です。そのため本当に悩んでいるときに相談するのは、上司よりも前に先輩になることが多いです。
そのときの先輩の受け止め方や言葉が、新卒の気持ちを前向きにも、後ろ向きにも大きく動かすのは想像に難くありません。
● 理由③:先輩社員は、最も身近な”見本”
新卒にとって、上司はどうしても距離のある存在です。
経験値も能力も違いすぎて「見習うべきだけど、自分にはまだ遠い存在」に見えがちです。
一方で先輩社員はどうでしょうか。
数年前までは自分と同じ立場にいた、少し先を歩いている存在。その姿は、新卒にとって現実的な「将来の自分像」です。
新卒は、先輩社員の仕事ぶりをよく見ています。
・上司への報告の仕方
・忙しいときの振る舞い
・社内での気遣いや立ち回り
・会社や上司についての語り方
新卒は、自然と先輩の行動を「この会社では、これが普通なのだ」と学習していきます。
だからこそ、先輩社員の仕事への姿勢は、そのまま新卒の基準になります。
逆にいうと、先輩社員のレベルが低い場合、優秀な新卒ほど見切りをつけて離職を考えてしまうのです。
このように先輩社員は、新卒に最も影響力をもてる立ち位置にいます。
先輩社員の役割と持つべき力は?
新卒が先輩社員からの影響をとてつもなく受けることは分かりました。
その上でどんな役割を先輩が果たせば、新卒は定着し育つのでしょうか。
まず果たすべきは、新卒の”あるべき見本として尊敬される存在(後輩の将来像)”になることです。
新卒は、先輩の立ち振る舞いや仕事の質を、会社の基準だと捉えます。
先輩の基準が見本としてしっかりしていればいるほど、新卒はその背中を見て育ちます。
逆に、先輩の普段の振る舞いが尊敬できないものだった場合、新卒は成長しません。
もっと言うと、将来像である先輩がかっこ悪く見えた場合は「この先輩みたいになりたくない」「この会社にいても理想の成長はできない」と思われてしまいます。
そのためにも、先輩社員には見本として尊敬される必要があります。
そのために必要なのは、最低限のビジネス力です。社内やお客様の信頼を失わず、「気が利くね」と思われるビジネス力を先輩社員が身に付けておくことが重要です。
参考に、弊社が考える最低限先輩がもっておくべきビジネス力を図にしています。

ぜひ新卒への研修や上司だけでなく、”先輩の育成”にも力を入れることで、新卒の定着と成長を実現してください。
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執筆 / 真崎 興一郎