幹部育成には何年かかるのか

幹部育成には一体どれだけの時間が必要なのでしょうか。
これは多くの経営者が頭を悩ます問題です。

幹部育成は、単なるスキルの習得ではありません。
その人材に経営者の視点や思考、リーダーシップを伝授する=”人間”を育む行いなのです。

この記事では、幹部育成に必要な年数を具体的に解説しながら、効率的に育成するためのステップと実践的なアドバイスをお届けします。

中小企業の経営者にとって幹部育成に取り組む過程で直面する課題や困難は数多く、そして汎用的な模範解答は存在しません。この記事では、それぞれの解決策を見つける手助けをしたいと思っています。

幹部育成を成功させるための鍵を知ることで、会社の未来を切り開く準備を始めてみませんか。

1 幹部育成には10年かかる

まだ一般社員でリーダー候補くらいのレイヤーの人材を、経営幹部に育てるまでには一体どれくらいの年月がかかるのだろうか?

突然ですが、社長はどのくらいだと思いますか?
「そりゃ、早ければ早いほどいいよ!」
まあ、そうですよね。

ここで、経営幹部の定義を設定します。

経営幹部とは
「MVVに誰よりも賛同・体現し、社長の想いと考え方を理解し、事業部や本部を任せられる責任者であり、経営を“自分ごと”として考えられる人」と定義します。

「なるほど、そういう経営幹部が育ってくれたら嬉しいよね」
そうですね。
では、社長このような経営幹部は何年で育つのでしょうか?

「3年から5年で育てたいけどね」
3年から5年で育てば嬉しいですね。

では、3年から5年で事業部や本部を任せられる人材になるのでしょうか?

「うーん、どうだろうね。なる気もするし、ならないかもしれない。やってみないとわからないかもね」
そうですね。
まずはやるしかないですね。

私の26年間の経営者経験では10年くらいかかった実感があります。
「え!白潟さんは10年? 長いね!」
はい、かなり時間がかかりました。

10年の内訳を次に示します。

1 基礎管理職(1年〜2年)の育成:主任・リーダーレベル

初めて部下を数人持ちメンバー全員でチーム目標を達成し、メンバーの育成ができる人材【部下マネジメント力の育成】

2 中核管理職(2年〜3年)の育成:課長・マネジャーレベル

部下5人~10人を持ち、部門目標を毎年達成し主任/リーダーの育成ができる人材【部門マネジメント力の育成】

3 経営幹部(3年〜5年)の育成:部長・取締役レベル

3~5つの部門をマネジメントし事業部/本部の目標を達成し、課長・マネジャーの育成ができる人材【リーダーシップの育成】
経営会議で社長と対等に議論ができる。また、自部門だけでなく他部門の課題に対しても提案でき、社長に諫言もできる人材【経営力の育成】


幹部育成がうまくいったおかげで前職のデロイトトーマツ時代には私が50歳の時に事業承継できました。
後継者へ事業承継する2年前から私は何もしていないのに、経営幹部が力を合わせて全社目標を達成していました。
なので、私がいらなくなったのです(笑)

先日(25年9月末日)白潟総研も12期で、新社長石川とNo.2畦田にバトンを渡すことができました。
石川・畦田を始め、白潟総研の経営幹部が育ったので事業承継できました。

石川が入社したのが2期だったので延べ10年かかっています。ただ、社内的には2年前から社長だったので実質は8年かもです。
デロイトトーマツに続き2社目である白潟総研での幹部育成だったので、少し早くなったんだと思います。

人づくりの達人である松下幸之助は
人を育てるには十年かかる。十年たってもまだ安心はできない。だからこそ、人を育てるには腰をすえて取りかからねばならない

伊藤忠商事の丹羽元会長は
10年単位で人を育てる

ユニクロの柳井社長も
人は1年や2年で育たない。10年経ってやっと任せられるようになる

と述べています。

では、どのようにして10年で幹部育成できるのでしょうか?

2 どうすれば10年で幹部育成ができるのか

幹部育成の究極の施策は育成したい人材に「修羅場を任せる」ことだと思います。

例えば、次のような修羅場を与えます。

・新規事業の立上を任せる
・不採算部門の再建を任せる
・M&Aした子会社の社長を任せる



経営幹部になる人材にとって、もう一つ大切なことがあります。
それは「社長との時間と対話」、つまり社長と共にいる時間を増やすことです。

この取り組みは、管理職候補の時期から幹部に昇進するまでの幹部育成中10年間、ずっと有効です。

例えば、社長とランチをともにするだけでも30分〜1時間、社長が何を考え、どんな想いで経営しているかを聴くことができます。
もし違和感を覚えたら、その場で質問してみる。
それだけで、社長との意見交換が生まれ、理解が深まります。

ランチに限らず、モーニング、夜の会食、飲み会などでも同じです。
何度も社長の話を聴くうちに、社長の思考の筋道や価値観が自然と身につき、視座が高まり、視点や視野が広がっていきます。

さらに、トップセールスへの同行、銀行訪問や顧客との会食、出張への同行など、社長の現場に立ち会うことで、経営者の視点を体感できます。
そして幹部に昇進すれば、経営会議や経営合宿での議論を通じ、経営のリアルな意思決定に触れる機会が増え、経営力が磨かれていきます。

結局のところ、”どれだけ社長と同じ時間を過ごした”かが、幹部育成の成功を左右するのです。
だからこそ、社長は「この人は将来幹部になる」と感じた人に対して、意識的に共に過ごす時間を増やすべきでしょう





最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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